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やる夫で考える麻生「ナチス」発言。

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 製作者からのお知らせ。
 以下を製作したのはドイツ近代史の専門家ではありません。
 麻生太郎自民党幹事長の発言を聞いたとき、さすがにそれは歴史的に当たっていないだろうと私は思いました。そして私が接した限りマス・メディアでは発言の内実が正当なものか否かよりも、表現の問題として捉えているように思え、非常に物足りなさを感じました。(尚、私はナチスに似ている内実があるなら、似ていると言うのは問題がないと考えます。民主も社民も小泉・安倍元首相らをヒトラーに喩えてきたのだし。)
 東京新聞ではドイツ史の専門家(熊野直樹九州大院教授と望田幸男同志社大教授)のコメントを載せて内実面で発言を否定しています。これも、紙面の制約で若干物足りない加え、ネットでの麻生発言への反応としてもう少し内実的な面のものがあってもよいのではないかと思い、以下を記しました。
 だた既に、ワイマール共和国史やヒトラーの総統への道については優れた詳しい解説がネット上にも存在し、後者はやる夫形式でまとめられています。ですので、専門家でもない私が一般書を持ち出して、しかもやる夫を持ち出してまでネットに出してよいものか躊躇いを感じています。
 ですから、かなりの部分、自己満足の作品です。それをいっては、ブログ自体がそうなのですが、もし役に立つ部分がある、興味を持つきっかけにでもして下さる人がいらしたら幸いと思い、これを提します。
 主にこれら数点の本を参照して製作者なりにまとめてみたものです。
 ・『第三帝国の興亡』ウィリアム・シャイラー著 井上勇訳(創元社)
  ・『ドイツの独裁』K・D・ブラッハー著 山口定 高橋進訳(岩波書店)
 ・『ワイマール共和国物語』有澤廣巳著(東京大学出版会)
 ・『ヒトラー 独裁への道』ハインツ・ヘーネ著 五十嵐智友訳(朝日選書)
 ・『ワイマル共和国』林健太郎著(中公新書)
 ・『ヒトラーとは何か』セバスチャン・ハフナー著 赤羽龍夫訳(草思社)
 AAについては以下から利用させていただきました。AAを製作・育ててきた人々へ感謝。
やる夫・やらない夫AA 
 ・やる夫見聞録 
 
 
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      、z=ニ三三ニヽ、
      ,,{{彡ニ三ニ三ニミヽ
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「審議をしないとどうなるか。ドイツでは昔(国政が停滞し)、ナチスに一度(政権を)やらせてみようという話になった」

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さすが、ローゼン閣下、ドイツの歴史にも詳しいお! ねじれ国家や不信任案や審議拒否で議会が粛々と進まないからって、民主党に政権を取らせたらナチスのようなことになるかもしれないお。やっぱり、自民麻生政権以外に日本は任せられるのはいないお。

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 あれは長門ちゃんだお。いつも本を読んで話しかけにくいけど、今日は頑張って話しかけてみるお。

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「長門ちゃん、今日は何を読んでいるんだお?」


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「『第三帝国の興亡』。ヒトラーのナチスの発生から壊滅までを描いたノンフィクション」

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     / \  / \   ローゼン閣下のおかげで、カッコいいところを見せ付けられるお!
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 「ヒトラーのナチスドイツが審議拒否をして議会が停滞したから、一度やらせて見せようってなった結果、ナチスは政権を取れたんだお。」

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「やる夫くん、詳しいのね。私はこの本に書いてあることしか分からない。いま、ヒトラーが政権を取る場面だけど、シュライヒャーに追い出されたパーペンが権力奪還のためにヒトラーを担いで、オスカールやマイスナーの協力で反ヒトラーだったヒンデンブルクを脅したりして説得したという風に描かれている・・・。」

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   /( ○)}liil{(○)\  ぱ、ぱーぺん?
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       ."ヽ |  i,        ノ   .\^   i
         .| ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
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         .ヽ、_./ ./  /    
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 /   _ノ  \     麻生の受け売りで歴史を語のはまずいだろ・・・常識的に。
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「オスカルじゃなくて、ワイマール共和国大統領ヒンデンブルクの息子のオスカール・フォン・ヒンデンブルク陸軍少将だ。当時、ヒンデンブルク大統領は脳卒中の後遺症で一日に活動できる時間が殆どなくて、意思決定が周囲の官房長マイスナーや息子に大きく影響されていた。
フランツ・フォン・パーペン男爵はシュライヒャーの前の首相だ。オスカールと陸軍大学の同窓で、早くから後の国防相グレーナー将軍に眼をかけられて出世をし、“シュライヒャー・マシーン”と呼ばれる人脈・情報網を作り上げて国防省支配を通じて政治に絶大な影響を与えていたクルト・フォン・シュライヒャー将軍に傀儡として無能で無名な右派の政治家だったパーペンは利用されて首相の座についた。しかし、パーペンは自分の属する中央党の首相だったブリューニングを失脚させて首相になったので中央党から除名されたことに加え、シュライヒャーの操り人形であることに満足できなかったパーペンは民族主義的挙国一致内閣を自称して反民主的な階層国家制度を提唱・議会を無視して施政方針を出版したりして議会の大反発を招き、そうでなくとも議会に基盤のなかった内閣なのにさらに議会から支持を得られなくなる墓穴を掘り、選挙でもまとまった支持母体を得られず、終いには大統領の緊急令によって憲法無視の新国会を作るクーデターを試みようとしたが、肝心の国会解散の命令書を持ってくるのを忘れたすきに、共産党に不信任案を提出されて可決されてしまうという間抜けな結末に終わった。
 そこで引っ込めばいいのに、パーペンは自分を首相にして国防相として入閣していたシュライヒャーが、自分を見捨ててシュライヒャー自身が首相となったことに怒り、復権を目指すところに、選挙で議席を初めて失い「ヒトラー神話」に限界が見えた上に国会解散時の共産党への協力で資本家から資金を引き上げられて組織的に崩壊寸前になっていたナチスから財界支持者が近づき、ヒンデンブルクの信頼があったパーペンとヒトラーを会談させてお互いの復権協力に合意した。パーペンのヒトラー擁護演説でナチスへの財界からの寄付が復活し、パーペンはヒトラーを含めた民族主義的統一勢力による政権をヒンデンブルク大統領に打診して好意的感触を得られ、大統領側近のマイスナーもヒトラー首相に向けて動き出した。ヒンデンブルク大統領は反ヒトラーだったが、マイスナーの説得やオスカールと大統領の所領に関する脱税追求の脅し、状況を察したシュライヒャーによるヒンデンブルク排除のクーデターの動きなどによって、ヒンデンブルク大統領はヒトラーの首相任命を決めた。
 たぶん、長門がいっていたのは、こんなことだと思うが。」

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  ノ   ノ
「で、オスカルはどうしなんだお?」

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   /  へ  \   }__/ /           / ̄ ̄\
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  ヽ  ̄ ̄ ̄/ ヽ ヽ_ノ
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 「ということは、タロウの歴史認識はまったくの出鱈目だということだね。やはり、漫画ばかり読んでいる大人は、これだから困るな」

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「そうあわてるな。確かに、ナチスが審議拒否をしたから国民がナチスに政権を一度与えようと考えたから、ナチス政権が誕生したというのは、既に述べたように正しくない。ナチス政権の誕生はシュライヒャーやパーペンの権力闘争の結果生まれて、彼らの意図を裏切って暴走した。ナチスは最後の選挙で相対的第一党を維持したが、得票率で前回選挙の37%から33%に減少し、票を200万・議席を34失ったことから、国民の支持がナチス政権誕生の直接的な原因とするのも無理がある。しかし、そもそも、シュライヒャーという軍人が政権誕生をコントロールできる状況や議会が政権を生み出せない状況、脳卒中の後遺症で殆ど活動ができない大統領が首相を任命していること自体が無茶なことだと思わないか?それを考えないで、麻生の歴史認識について最終的な判断を下すのは早いだろう。」

 続き→やる夫で考える麻生「ナチス」発言 part2
by sleepless_night | 2008-08-27 01:03 | メディア
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