血液型占いが無くなる日

 前回、“血液型占い”が話題として出された場合に、どういった対処をすることが適切で有効なものかを述べました。
 しかし、このような対処法を考えるまでも無く、社会の変化によって広義の“血液型占い”に含まれる血液型性格判断は廃れる可能性が高いと私は考えます。
 
 推測の理由は、血液型性格判断が日本や韓国などのごく一部の国でしか広まっていないことと関係します。
 日本などのごく一部でしか血液型性格判断が浸透していないのは、他の多くの国・地域では、血液型という調べなくてはわからない程度の差異よりも見てすぐにわかる外見の差異(皮膚・目・髪など)や、性格の差異以上に深刻で歴史的な信仰による差異があるからだと考えれます。
   
 血液型占いに反論するモテないのか?で述べたように現在の血液型性格判断の発信源である能見は古川竹二のリバイバルを行ったのですが、これが成功し、血液型と性格の関係が広く受け入れられた(ている)のは、血液型占いに反論するとモテないのか? part2血液型占いに反論するとモテないのか? part3で述べたのとは別に、時期的な要素が大きく寄与したと推測します。
 つまり、能見がリバイバルを起こした1970年とは、日本の第二次郊外化が進んだ年だということが寄与したと考えるのです。(※)

 第二次郊外化とは、1950年代から始まった日本住宅公団が発売した団地を生活の場とし、男性がサラリーマンとして稼ぎ、女性が専業主婦として家事育児を担い、電化された家財を消費し、「文化的生活」を営むことを理想とした第一次郊外化の後に来た現象を指します。
 第二次は第一次が「文化的生活」を目指した夢やそれに向かう充実感があったのに比べて、それらがある程度達成され風化した状態を指し、団地のような雑多さが無くなり均一化したニュータウンに象徴されます。
 均一化したニュータウンでは、隣と自分には目立った違いはなく、そのためにかえって小さな差異をつけることに集中する傾向が生じたと指摘されます。
表面上の均一の下で、隣よりもいい車、いい家財を揃えること、隣の夫よりも自分の夫が出世すること、子供を偏差値の高い学校へ入れることに集中する、それも突出しない程度の優位差をつけようとする努力がなされる(突出する違いは叩かれる)。

 血液型性格判断が日本やごく一部でしか浸透していないことが、差異への欲望を消化できる目だった目標の無さに大きく依拠するならば、日本の1970年代は血液型性格判断の発展にとって絶好機だったと言えます。(※1)

 そして、現在、社会が大きく変わろうとしています。
一つは、社会の階層化。もう一つは、人口減少です。

 一つ目、社会が階層化すれば、その階層は目立った差異として、人々の差異への欲望を消化する端的な目標となるでしょう。
上層の人間と下層の人間がはっきりと分化したとして、上層の人間の~型と下層の人間の~型が同じだとされるメンタリティには相当の抵抗が生じるはずです。

 もう一つ、人口減少ですが、これにより人口規模を維持するためだけにも年間数十万人の移民を受け入れなくてはならなくなります。
どんな意識を日本人がもつのであれ、経済を維持することを考えれば、移民を現在以上に受け入れる必要があります。
 そうすると、殆どの日本人が、外見の違いを持った人々、目に見える差異をもった人々と生活で不可避的に接することになりますので、血液型のような目に見えない差異にわざわざ注目する意欲は低減されると考えられます。

 それぞれの人自体に向き合うことで判断するのではなく、偏見やステレオタイプで判断しようとすることは、血液型性格判断が廃れても、次々に対象を変えて存在するでしょう。

 しかし、私は血液型性格判断に向かう時よりも、人種や国籍や階級による偏見やステレオタイプに対する方が気が楽に感じます。
 もちろん、それらが軽いというのではありません。
 結果としては、それらのほうが苛烈です。
 ただ、血液型性格判断があまりに面倒で、うんざりするような固着の仕方をしているのです。

 社会が上記のような変化を見せたとき、「遊び」で血液型性格判断を受け入れる態度、人を「科学的」な差異で判断しようとする姿勢が、どれほど悲惨で低劣な差別行為をさせるのか・させてきたのか・繋がっているのかを、身をもって学ばなければならないのかもしれません。



E・フロムの機械的画一化による「自由からの逃走」に関して⇒「ばらばらにされた一人一人」にできること。
科学の装いをした根拠による差別に関して⇒殺人の誘惑と情熱の間 投げつけられたチーズサンド


※)『まぼろしの郊外 成熟社会を生きる若者達の行方』(朝日新聞社)宮台真司著
※1)能見正比古が血液型性格判断について出版しようとしたきっかけは、師匠である大宅壮一に「血液型をやると儲かる」といわれたからだという大村政男の指摘もあります。
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by sleepless_night | 2005-11-03 09:00 | 血液型関連
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