毎日新聞「ネット君臨」/毎日新聞を世界遺産に

 毎日新聞「ネット君臨」/終電逃したら毎日新聞を巻いて寝ると暖かいよの続き


 最後に、これこそ元旦スクープにふさわしい記事。
 日立製作所の小泉英明さんがIT技術の脳へのアセスメント必要性を訴える文章。
 パソコンのキーボードと筆ペンで文字を書くのが違うというのは、ITとは関係ない(IT以前のタイプライターが原型なのだからIT技術の問題にならない)というご愛嬌は別として、PCの製造をしている日立製作所が、自社の製品が消費者を馬鹿にする可能性があると告白するに等しいことを意見している。
 きっと、良心のいたみに耐えかねたのでしょう。本当にありがとうございます。
 “個人的な見解だが、幼いころからオン・オフだけを続けると脳の働きがかなり変わる懸念がある。脳が基本的な部分を一生懸命構築する時期にパソコンばかりやらせるのはよくない。特に2、3歳までは、増加ではなく本物の花に触れるような実体験がかかせない。”
 柳田邦男さんの言葉遣いとそっくりなのは、どちらが元ネタなのか分からりませんが、もしかしたらシンクロニシティーの解明につながるかもしれないので注目に値します。
 最近の2,3歳児はPCを使っていると言うのは知りませんでした

 と、ツッコむところしかない記事に加えて、9日の朝刊はサービス精神にあふれている。
 5面では「政治に思う」というコーナーで川島隆太(東北大教授)のコメント。

 記者質問“政治家にはどんなふうに脳を鍛えてほしいですか。”
 川島答え“「前頭前野」をもっと鍛えてほしいですね。前頭前野はモラルをつかさるる脳。他者の痛みを感じるのもここです。国民の痛みをしり、モラルに従った行動をする理想の政治家であるために、一番大事な脳なんです。ここをしっかり鍛えていただきたい。”
 記者質問“そのためには毎日の音読や計算が大事なんですか。”
 川島答え“脳を鍛える方法は沢山ありますよ。まず活字を大切にする生活をつづけてほしいですね。テレビやITメディアにおぼれないで、活字に軸足を置くことが、前頭前野を鍛える一番のコツです。”
 記者質問“有権者としての脳の鍛えたかにもアドバイスを。”
 川島答え“やはり前頭前野です。中略。テレビだけを見ていたら、「支配者」と呼ばれる集団に思うように操られてしまいます。後略。”

 タイタニックよりも泣ける記事をありがとうございます。
 官僚の作文を音読しているから議員は情緒豊かだということがよく分かりました。
 ITメディアの主流は活字ではないのかという疑問も、テレビの弊害が大きいというのが答えなのに、ITメディアもまとめて語る無茶も見事に無視されています。
 感動しました。

 9日朝刊はこれだけではない。7面の「新聞時評」では杉田正樹(関東学院大教授・ドイツ近代哲学)さんの論評が掲載されている。
 「ネット君臨」の特集記事を“文明論に及んでいるから”“大変興味深い”と評価。柳田邦男さんのコメントも引いて、“ネットの発達は、人間を未熟化し、社会を脆弱化する面を否定できない。未熟な社会はストレスを生みやすい。未熟とは最低限のルールが守れず、自分のことしか考えないからだ。ネットは未熟に適合し、また、未熟を助長する。そのようなネット社会が、ものや人や情報(言葉)を使い捨てにする社会であるのは当然だ。他人は手段であることすら意識されない。われわれは成熟したモラルを作り出す必要にせまられている。”

 参りました。
 功利主義が強い英米の倫理学に対してのドイツ倫理からの異議という感覚は読み取れるのですが、それ以上の内容はなく、柳田邦男的な呪詛の言い換えで終わっています。
 記事の長さから仕方が無いといえばそれまでですが、毎日新聞は柳田邦男ブームのようです。
 
一部 失われてゆくもの/9)
最先端…電脳村の10年

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070110ddm002040010000c.html
[記事要約]富山県旧山田村は村おこしでネットに着目。大々的に設備投資をし、注目を集めたが、廃れた。

 第一部がこの記事で終了。特集もやめた方がいい。
 ありふれた公共事業の失敗例であって、ネットの問題でもなければ、どこにも「ネット君臨」していない

第一部が終わって)
 “祖父は長い間、孫の一人は自分と同じ大工に、という希望をいだいていた様だ。”
 “リポーターになりたての頃、いったい何を生業の種にしているのか、じっくり説明してくれ、と祖父に言われた。
 「おじいちゃん、ぼくはいろいろな人に話しかけるんだ」と、私は言った。「そして、その人たちがしゃべったことを、紙に書くんだ」しばらくの間、祖父はただじっと私を見つめていた。
 「なあ、ひとつ教えてくれんか」口元をほころばせながら祖父は言った。「それで、金をもらえるのかね」”
  「祖父の思い出…」ロジャー・サイモン著 横山和子訳
       (中公文庫 『ジャーナリストはなぜ疑り深いのか』より)
       
 連載担当は、竹川正記、矢野純一、高橋望、江口一、堀井恵里子、宮崎康宏、桜井平、岩佐淳士、河津啓介、花谷寿人。

 「なあ、ひとつ教えてくれんか。これで金をもらえるのかね」 



毎日新聞を世界遺産に)
 登録基準(ⅴ)に該当することを根拠として、毎日新聞‐社会部「ネット君臨」取材班‐を世界文化遺産に推薦する。

(ⅴ)ある文化(または複数の文化)を特徴付けるような人類の伝統的集落や土地利用の優れた例であること。特に抗しきれない歴史の流れによって存続が危うくなっている場合。
 http://www.unesco.or.jp/contents/isan/decides.html

 2007年1月1日より掲載された「ネット君臨」は、19世紀後期から20世紀にかけて形成され、完成された日本国の特異なメディア体制、情報の流通構造を、その内部の集落構成員による変化への抵抗という形をとることで明確に表した作品である。
 戦後に完成された、新聞・テレビ・ラジオという三つの主なメディアの実質的連結、先進国では異常な情報の独占体制、メディア相互のチェックが構造的に保障されず、結果として政治の非流動性を支えた不当性を、杜撰な取材と感傷的な文章、特集主題を無視した内容設定によって鮮明に読者に印象付けた。
 これを創作した取材班は、日本の旧メディア“文化を特徴付けるような人類の伝統的集落”であると認めれる。

 毎日新聞は約400万という異常な発行部数、押し紙を含めて、による販売収入・広告収入によって維持されているが、若年層の新聞離れ、英語などの外国語習得にる海外のメディア利用によって確実にその経営基盤を脅かされている。
 また、当該特集記事が標的にしたインターネットによる情報流通は“抗しきれない歴史の流れ”であり、毎日新聞の“存続が危うくなっている”ものと認められる。
 特に、毎日新聞自体の将来以上に、特集班の将来は“存続が危うくなっている”と推察され、インターネットの重要性を捨て身で表現した取材班の世界文化遺産登録による保護が要請される

         





 
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by sleepless_night | 2007-01-10 20:33 | メディア
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