http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/yomawari/ http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20050605k0000e040007000c.html
夜回り先生こと、水谷修さんについては水谷さんご自身の著書やマス・メディアを通じて多くの人が知るところのもので、多くは肯定的な意見・感想を持ったでしょう。 私も初めて水谷さんのことを知ったとき、凄い「馬鹿」な人がいるものだと驚きました。 私の言う「馬鹿」はもちろん、愚かなや無知を意味するものではなく、通常の理屈を圧倒する力を持ったという意味です。私たちが生活する社会で流通する理屈から考えれば、夜回り活動を始める前に活動内容を聞いたとしたら、無意味だからやめたほうが利口と判断されるものでしょう。たった一人が夜の繁華街で子供に声をかけて歩いても、それは大海に真水を足して塩分濃度を下げようとしているようなものです。 現に、水谷さんの活動がドラマになり漫画になって、メディアにもてはやされても、全体の状況に変化は見られません。 水谷さんの活動についての評価は措くとして、一つ気になることがあります。 それは、金八先生に通じる、マス・メディアでの水谷さんの取り上げ方です。 先生モノといわれるドラマでは、先生が給料の対価として行う活動である授業のシーンが非常に少ないように見られます。そんなシーンを見せられてもつまらない人が多いだろうから、当たり前なのですけれども、教員の仕事って生徒と触れ合うことでしょうか? 給料を支払われる根拠の第一は、自分の担当する学科の指導であることは異論がないでしょう。 生徒の側から教員に求める第一のものは、良質な授業ではなく人間的な触れ合いなのでしょうか? 私は、経験から、第一は良質な授業だと思います。 教員が“いい人”かは、付加的な問題だと思っています。“いい人”であってはいけないとか、不要だというのではなく、その前に良質な授業を提供できることが第一の問題であると思います。 「学校は勉強だけをする場所じゃない」や「人間は勉強だけじゃない」という発言が低レヴェルな授業や自分の学科についての学問的な理解不足の言い訳として使われているように感じられるのです。 考えてみれば当然なのですが、教員は人格的な指導をできる資格があるとはいえません。 20そこそこの大学や大学院を出ただけのレヴェルの人間が、40人~30人の人間を指導できるなんて稀有な資質の人間しか不可能です。一般企業で30人の部下を持つのは、入社何年目でしょうか?ましてや、人格的な領域を指導できる力は、そのときに備わっていますか? 自分や周囲が20代だったころを振り返れば答えるのは難しくないと思います。 20代から先生と呼ばれて、教室では自分は指示する立場であり教える立場を保障されているのです。環境的に、人格的な研鑽に適した場所ともいえません。 これ程、分かりやすい事実があって、教員に“触れ合い”や人格的指導を期待することは不合理じゃないですか? 給料が支払われる根拠である、授業をまずは向上させることが何よりでしょう。自分の担当する教科についてどれだけ専門知識があり、それをどれだけ授業を発展させるために使える能力があるかを問うべきです。 教員の役割は何よりも授業の提供であって、そこで生徒の支持を得られないことは、給料をもらう資格がないということです。 生徒への「愛」があるのは結構なことですが、それが自分の感情や想いの押し付けになって、生徒の声を無視したり、自分に心地よいもののみを受け入れてしまう恐れがあると気づいているでしょうか。 理想の教師像に金八先生と上げる教師や生徒は、教員の第一の職責を何だと考えているのでしょう? 私は、“触れ合い”や人格的指導という過重な役割から教員を解放するべきだと思います。 教員への期待を授業へと、本来あるべき場所へと移すことで、学校はましな場所になると思います。自分の役割は授業で知識やそれの活用法を伝えることだと意識している教師なら、生徒に対して一般社会なら許されないような横柄な態度や口の利き方、ましてや暴力の肯定をしないはずです。つまり、役割では教える側ではあっても、それ以外は一人の対等な個人として接する意識が自ずと広まると考えるのです。 水谷さんの活動が、タマちゃんのように一気に持ち上げられ、消費されたのを見ると、金八先生の現実版かのようにメディアは解釈しているように思えます。 いい加減、架空の教員に理想像を求めるのはやめた方が、生徒・教員両方のためになると思いますけどね。 強姦や買春なんて、教員かどうかのレヴェルの話ではないでしょう。人間としてのレヴェルです。金八先生の幻想を維持する記事もやめたほうがいいいですね。
by sleepless_night
| 2005-06-05 20:13
| メディア
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