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これはフィクションではありません。/ある国の脳死をめぐる一つの話



これは、フィクションではありません。




ある国の都市にあるたくさんの部屋がある建物内で、ブルーは質問に答えてくれそうな人を探していた。
そこにテレビで見たことがあるグリーンという名の人物が通りかかった。
ブルーはグリーンに質問をし、疑問を解決しようと思った。


ブルー「臓器移植法改正案、通称A案に関して質問があるのですけれど」
グリーン「はい、どうぞ」
ブルー「脳死を一律に死とすることは、特に長期脳死の状態にあるという子供が長期にわたって生存・成長していることを考えると疑問があるのですけれど」
グリーン「長期脳死の状態にあると言われている子供は本当は脳死ではありません」
ブルー「本当のとは、どういう意味ですか?」
グリーン「法的に認められる、という意味です」
ブルー「長期脳死の状態にあると言われている子供が、法的に脳死と認められる子供ではないということですね」
グリーン「その通りです」
ブルー「法的に、という時の法とは臓器移植法のことですね」
グリーン「はい」
ブルー「ということは、長期脳死の状態にあると言われている子供が、現在の臓器移植法の定める脳死判定をされている子供ではないということですね」
グリーン「はい」
ブルー「現在の臓器移植法の脳死判定の実施に必要なのは何ですか?」
グリーン「臓器移植法6条3項で脳死判定の実施には予め脳死状態になった患者本人が臓器提供の意思表示をしていることと、脳死判定実施の告知を受けた家族がそれを拒否しないことです」
ブルー「つまり、本人の事前の意思表示と家族の同意が必要ということですね」
グリーン「その通りです」
ブルー「では、本人の意思表示か家族の同意がなければ脳死判定は行われないんですね」
グリーン「いいえ、脳死状態になった患者本人に家族がいない場合には、患者本人の予めの意思表示があれば判定が行われます」
ブルー「では、本人の意思表示について必要なことはありますか」
グリーン「6条1項で書面による意思表示が必要だとされています」
ブルー「本人が書面で意思表示をしていればいいんですね」
グリーン「はい」
ブルー「では、長期脳死の状態にあると言われている子供が、その状態に陥る前に書面で臓器提供の意思表示をしていて、家族がそれに同意をしてれば、その子供には脳死判定が行われるんですね」
グリーン「いいえ。法律的に意思表示が有効とされるには15歳以上であることが必要とされていますので、その子供が15歳以下ならば臓器提供の意思表示は有効ではありません」
ブルー「脳死判定の実施に不可欠な本人の意思表示が欠けているということですね」
グリーン「その通りです」
ブルー「ということは、15歳以下の子供は本人の意思表示がない以上、臓器移植法の定める脳死判定を受けることは法律的に不可能ということですね」
グリーン「そうなります」
ブルー「グリーンさん。15歳以下の子供が法的脳死判定を受けることが法的に不可能なら、法的に脳死だと認められる子供がいないのは当然じゃないですか」
グリーン「……」
グリーン「ちょっと、トイレに行ってきます」


グリーンがトイレから帰ってきた。


グリーン「ごめんなさい、トイレを我慢していたので、私、少し勘違いをしていました」
ブルー「勘違いですか」
グリーン「はい。長期脳死の状態にあるといわれる子供が本当は脳死ではない、と申したことです」
ブルー「勘違いでしたか。では、やはり長期脳死の状態にあるといわれる子供も本当に脳死だということでよろしいんですね」
グリーン「いいえ」
ブルー「?」
グリーン「私が申しました、本当のとは、法律的に認められた、ということではなくて、臓器移植法が認めていなくても実質的に同じ状態だと診断されたということです。法律的に脳死判定ができなくとも、脳死判定の基準から脳死だと診断されることを、本当の脳死だと申したかったのです。」
ブルー「臓器移植法6条4項の“医学的知見に基づき厚生省令で定めるところにより行う判断”に従って診断した結果、脳死判定の基準を満たしている患者ということですね」
グリーン「その通りです」
ブルー「具体的に、その基準とはなんですか」
グリーン「厚生省が85年に定めた基準です」
ブルー「その基準の内容は何がありますか」
グリーン「判定基準は簡単に申しますと、6つあります。深昏睡・自発呼吸の消失・瞳孔固定・脳幹反射の消失・平坦脳波です。これらを6時間以上の間をおいて2度確認することが求められています」
ブルー「長期脳死の状態にあるといわれている子供は、その基準を満たしていない、ということをおっしゃりたかったのですね」
グリーン「はい。具体的に言いますと、そのうちの自発呼吸の消失を確認するための無呼吸テストをしていませんので、脳死と確認するための基準を満たしていないのです」
ブルー「つまり、長期脳死の状態にあるといわれている子供に無呼吸テストを受けて自発呼吸の消失が確認された子供はいないので、本当の脳死の子供ではないということですね」
グリーン「はい。だから脳死と診断された子供からの臓器摘出を考える時に、今知られているような長期脳死の子供のことをもって疑問に思わなくてもいいのです。それは誤解なのです。お分かりになりました?」
ブルー「よく分からないのですが…。失礼ですが、日本語はお得意でしょうか?」
グリーン「当たり前でしょ!失礼な人ですね。私を誰だと思っているんですか。私はこの国の厚生労働に関する立法に関わる重責を託された人間ですよ」
ブルー「存じ上げませんで、失礼しました。厚生労働分野がグリーンさんの御専門ということで意外です。それならば、旧厚生省研究班の『小児における脳死判定基準』という論文を当然ご存知ですよね」
グリーン「もちろ、あっ、いや……」
ブルー「この論文によると、脳死とされる6歳未満の子供について小児脳死判定基準を満たした、つまり2回の無呼吸テストを実施して無呼吸が確認されたのが20例あり、そのうち7例で長期脳死に、さらに4例で100日以上が心臓が動き続けたのが確認されているということです。当然、心臓が動き続ける間、その子供たちは成長を続けました」
グリーン「……ですから…、あの、私、行きますね」
ブルー「ちょっと、どこへ?」

グリーンは、急いだ素振りで大きな会議場へと入って行った。
彼女が入っていくと扉が閉められた。


ブルーは、グリーンがまた戻ってくるのではないかとその場で待った。
すると、グリーンが入って行った大きな会議場のドア越しにグリーンの声が聞こえてきた。


「脳死の議論の際、小児には、長期脳死という問題がたびたび指摘をされます。脳死状態であっても、髪の毛が伸びる、爪が伸びる、歯が生え変わる、して成長を続けていくといわれています。テレビ等で報道されている、小児の長期脳死事例は、いわゆる臨床的脳死と診断されているにすぎず、臓器移植法において求められる厳格な法的脳死判定に係る検査、すなわち、無呼吸テストや時間をおいての2回の検査が実施されているわけではありません。小児の脳死判定に慎重さが必要であるということは、区別して議論する必要があるということを、まず指摘させていただきます。」



参照
感じない男ブログ 子供が「長期脳死」にならないことを判定する脳死基準が必要だろう
         小池晃議員によって嘘は正された
         そこまでやるか石井みどり参議院議員!
てるてる日記 「長期脳死」を否定する議員や政策秘書たち
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by sleepless_night | 2009-07-11 09:20 | 倫理
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