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家族と遺族、臓器移植改正案が示す「常識」からの排除。




 あす参院本会議で採決される予定の臓器移植法の改訂案・通称A案では、本人の臓器提供の意思表示がなくても、“その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がいないとき”(A案6条3項1号)には脳死判定ができるし、“遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき”(A案6条1項2号)には臓器摘出ができるとしている。

 しかし、ここで言う“家族”や“遺族”は法律用語ではない。
 誰が家族や遺族なのかが分からない。

 常識的に判断すれば、親兄弟・夫婦・子供は家族や遺族に該当するだろう。
 では、これら全員が承諾する必要があるということなのか。だれか一人でも承諾すればいいのだろうか。

 また、法律的に結婚できないゲイやレズビアンのカップルはこの法律案の家族や遺族に含まれているのだろうか。
 ゲイやレズビアンの人たちの中は親兄弟に受け入れられない・打ち明けられなかったりして親兄弟と音信不通の人だっているだろう。
 もしその人たちが予め意思表示をしていないで脳死状態になったら、だれが承諾や拒否の意思をするのだろう。
 十年以上同居してるパートナーがいても(養子縁組でもしない限り)法律的には何の権利もないのだから、臓器提供に関しても同様なのだろうか。
 最も大切に思っている人の生命に関して、その人を受け入れなかった人たちにゆだねることが生じないだろうか。

 法案の作成や審議において、これらは検討されたのだろうか。








追記)上記エントリの表現について、コメント欄をご覧ください。
 
by sleepless_night | 2009-07-12 19:26 | 倫理
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