カテゴリ:メディア( 34 )

やる夫で考える麻生「ナチス」発言 part3

 やる夫で考える麻生「ナチス」発言 part2の続き


         , '´  ̄ ̄ ` 、
          i r-ー-┬-‐、i
          | |,,_   _,{| 「私が教えよう。」
         N| "゚'` {"゚`lリ 
           ト.i   ,__''_  !
          /i/ l\ ー .イ|、
    ,.、-  ̄/  | l   ̄ / | |` ┬-、
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
  /    ∨     l   |!  |   `> |  i
  /     |`二^>  l.  |  | <__,|  |
_|      |.|-<    \ i / ,イ____!/ \
  .|     {.|  ` - 、 ,.---ァ^! |    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{   ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
  }/ -= ヽ__ - 'ヽ   -‐ ,r'゙   l                  |
__f゙// ̄ ̄     _ -'     |_____ ,. -  ̄ \____|
  | |  -  ̄   /   |     _ | ̄ ̄ ̄ ̄ /       \  ̄|
___`\ __ /    _l - ̄  l___ /   , /     ヽi___.|
 ̄ ̄ ̄    |    _ 二 =〒  ̄  } ̄ /     l |      ! ̄ ̄|
_______l       -ヾ ̄  l/         l|       |___|
 
          / ̄ ̄\
        .ノ  \,_. .\  やる夫はわたさない !
やらない夫… (ー)(ー )  |  
     / ̄(__人__) //// |    
   /  _ノ .ヾ⌒ ´     |    
  /   ゚⌒  {      .  /   
  | ///  (__人\    .カ  
  \     ` ⌒´ン     .ノノ
   /  ̄   ./  . .. し}
     .(⌒二_⊿ニ⌒)  .i

    ,, - ―- 、
  ,. '" _,,. -…;   ヽ
  (i'"((´  __ 〈    }
  |__ r=_ニニ`ヽfハ  }
  ヾ|!   ┴’  }|トi  }  
    |! ,,_      {'  }  
   「´r__ァ   ./ 彡ハ、   
    ヽ ‐'  /   "'ヽ  
     ヽ__,.. ' /     ヽ
     /⌒`  ̄ `    ヽ\_  
    /           i ヽ \   
   ,'              }  i  ヽ
 「大丈夫、僕は人の愛を裂くような醜いことはしないよ。
 さっきまでのやらない夫君の説明は、重要な二つの要素を抜かしているね。
 一つは憲法48条の問題、もう一つは賠償問題だよ。
 ワイマール憲法は当時最も民主的で先進的な憲法だったと言及されることが多いね。
 確かに、この憲法はそういわれるに相応しい優れたものだったと思う。
だけど、やらない夫君が説明してくれたようにワイマール共和国の誕生は敗戦によるものだったから、知識人はともかく、一般国民は生活の困窮から平和の渇望などはあっても共和制や民主主義といった国家の仕組みや思想にはそれほど付いて行けていなかったんだ。だから、憲法はそのズレを補うために内閣の任命から軍の統帥などと大統領に大きな権限を与えることで共和国憲法の意図を理解する大統領の能力によって解決しようしたんだ。
それが憲法48条にあって、憲法に従わない州が現れたり、公共の秩序が著しく損なわれたときに大統領は超議会的な緊急令発布の権利を認められたんだよ。ただし、この緊急令には副署として内閣の閣僚の署名が必要だったし、議会に事後承認される必要があったし、大統領も国民の直接選挙で選ばれるから、独裁的な存在とはならないようには設計されていたんだ。
 このような大統領制は、共和制を維持しようとする政治能力のある人間が大統領にいる場合に想定された機能を果たすだろうし、実際に共和国建設に関わり首相から大統領へと就任したエーベルトは不安定な内政外交に直面しながらも役割を全うしようとした。
 そのエーベルトが1925年に死去したことによって大統領選が行われ、左派は元首相のマルクスを右派はヒンデンブルクを候補者とし、約30万票差でヒンデンブルクが勝利した。このとき、共産党の候補は190万票を採っていたから、共産が左派の統一候補に乗っかればヒンデンブルクの勝利は無くなかっただろうね。
 ヒンデンブルクは名前から分かるように貴族出身だったし、第一次大戦の参謀総長という最高司令官だったから帝政派だというのは分かるよね。
 ワイマール共和国は成立5年で帝政派の貴族軍人を大統領に選出してしまったということだね。
 ヒンデンブルクは第一次大戦のはじめにあったタンネンベルク会戦の勝利で国民的英雄になって、敗戦によっても周囲が責任を被ったことで名声に傷か付いていなかったんだ。
 だけど、実際には軍事的にも参謀次長だったルーデンドルフが実権を握っていたし、少なくとも国民からの絶大な信頼や名声にふさわしいだけの能力や思想を持っていたわけではない、保守的な人物だったみたいだね。
 でも幸い、ヒンデンブルクは大統領に就任して当初は憲法に忠実で、担いだ右派保守派の期待を裏切ったんだ。
 ところがやっぱり時間の経過とともに彼の馬脚が現れ、さらに年齢的も大統領就任時に76歳と高齢だったし脳卒中にまでなってしまったことから不安定な議会や困難な外交に対処できなくなって、議会から独立した右派保守派の内閣による統治を目指すようになって議会の政府選出能力の劣化に拍車を掛けてしまったんだ。
 そこに、やらない夫くんが説明してくれたシュライヒャーやオスカールといった人間が付け込んで憲法48条を利用した政権操作やクーデターまがいのことを実行を可能にしてしまったんだ。
 こういった憲法の問題やそれによって深まった議会の混乱と無能化を生み出したのに深く関わったのが最初にいった二つの問題の後者の賠償問題なんだ。
 ドイツ帝国の後を引くワイマール共和国は第一次大戦の敗戦後の平和条約であるヴェルサイユ条約で賠償を求められることになったのだけど、この条約は従来の平和条約にあった交渉の側面が殆ど無くって勝者の押しつけに近いものだったんだ。だから、右派や保守派は受け入れられるものではなかったのは簡単に想像できるよね。
 そこで、実はまだ戦えるのに国内で左派が革命を起こしたから負けたんだっていう「匕首伝説」って言われる話が広く流布してしまったんだ。これは戦後の政府の調査委員会で後に大統領となるヒンデンブルク自信が証言したことで広まったんだけど、実際はやらない夫君が説明したようにヒンデンブルクは戦況が悪化して戦線が持たなくなった時点で政府に休戦できるように交渉を求めていたからおかしいよね。なんでこんなことを国民が広く信じてしまったのかっていうと、メディアがドイツの敗戦を伝えていなかったからだったんだね。
 ヴェルサイユ条約によって膨大な賠償を課されて領土を奪われ、軍隊保持を制限された。その中でワイマール共和国は復興への歩みを進めなければならなかったんだよ。
 そんな無謀な試みはすぐに行き詰まったから賠償の猶予などを求めたし、見かねてイギリスも手を差し伸べたんだけどフランスが突っぱねてしまったりして工業地帯ルール地方を占領されてしまって、よけい共和国経済が破綻してしまったりしたんだ。そこでマルクの価値が落ちたことによって輸出産業の大資本は余計儲かってしまったのに、中産階級が壊滅的な困窮へと陥られるという社会の破壊までもが生じてしまったんだ。
 その後、シュトレーゼマンが外相として交渉したりして賠償条件が徐々に軽減されたり、中央銀行の通貨政策でマルクが持ち直し、アメリカ資本が投入されたりして経済は徐々に回復していったのだけど、地力を回復できなかったし、マルクが安定したことで輸出産業が打撃を受けたり、対戦中に遅れ劣った各産業で合理化が進んで失業が増えたりしたんだ。
 そして1929年にウォール街で大暴落が起きて、ドイツ経済も大打撃を受けて失業者は200万にも及んだんだ。
 ワイマール共和国は社民的な色彩の国だったから労働者の権利保護があって失業保険も備わっていたんだ。でも、これは数十万といった通常の失業へ対処するものだから、大恐慌の失業には対処できなくって、政府は失業保険の各拠出金を上げようとしたんだけど、これにブルジョア層を支持基盤とする党派と労働者層を支持基盤とする党派が対立して政権がクルクルと変わる錐揉み飛行状態へと議会は陥ってしまったんだ。
1930年には失業者が400万、1932年には600万へと増大して、ますます社会が破壊されていって、この状況を政治的に利用したのが左右の過激派であった共産党やナチスだったんだよ。特にナチスは「匕首伝説」なんかを利用してすべてを左派とヴェルサイユ条約のせいにして国民の支持をどんどん増やしていって地方議会で勢力を伸ばしていったんだ。
そして、この極右ナチスの成長は帝政派の資本家や国軍に受けて、特に国軍のシュライヒャーはナチスを取り込んで条約に縛られていた軍隊を解放されたより強大なものにするために利用しようと、影でナチスを保護する働きをしたんだ。
 でも結局、利用しようと思っていたナチスに逆にシュライヒャーたちが飲み込まれてしまったのは、やらない夫君が最初に説明してくれたとおりだよ」

            (ヽ三/) ))
         __  ( i)))
        /⌒  ⌒\ \
      /( ●)  (●)  \ )     
    ./:: ⌒(__人__)⌒::\     
    |    (⌒)|r┬-|     |
    ,┌、-、!.~〈`ー´/   _/
    | | | |  __ヽ、   /
    レレ'、ノ‐´   ̄〉  |
    `ー---‐一' ̄
「左右の対立に党内抗争、保守的な官僚や司法の残存に軍の独立、逆作用した憲法とさせた無能な大統領、戦災と賠償での経済破綻で社会が破壊されて左右の過激派が増大…。なんてキビシイ歴史だお。
 これじゃあ、やっぱりねじれ国会で議会が停滞しただけで民主党をナチス云々っていったタロウの歴史認識は無茶だと言わざるをえないお。」

   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (●)(●)  |
. | (__人__ | 
  |   ` ⌒´  ノ
.  |       }
.  ヽ      }
   ヽ     ノ        
   /    く  \      
   |     \   \       
    |    |ヽ、二⌒)、    
「そうだな。ナチスは1932年1月にゲーリングが議長として解散命令を持ってきたパーペン首相を無視して共産党の不信任案を取り上げたり、1930年10月には議会周囲でデモを行いユダヤ人を襲い、議事堂内で禁止されていた突撃隊の制服を着用し一斉入場し、不信任を連発して議事妨害を連発し罵詈雑言で発言を封じたりした。でもとちらも次の選挙で負けているんだ。」

     / ,--……-…-ミ \
 /.: : : :|   折口   |: : : ヽ 
 {:: : : : |        |: : : : :} 
 {:: : : : |        |: : : : :} 
 {:: : : : :i          |: : : ヽ
 {:: : : : |  ─   ─  |:: : : : :',
 { : : : :|  ( ●)  (●) i: : : : :}      
  { : : : :|   (__人__) |: : : : :}  ふむ
  ヾ: :: :i   ∩ノ ⊃   | : : :.ノ  
  (  \ / _ノ  /
   \  “  /___|  |
    \ /____/
「なるほど。それに、ナチス政権下で奇跡的な経済回復を遂げたのに、民主党にはそんなことは期待できそうも無いお。」

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●) 
. |     (__人__) 
  |     ` ⌒´ノ      
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ        
   /    く  \       
   |     \   \       
    |    |ヽ、二⌒)、       
「そのことだけど、ナチス政権下で経済回復したのは確かだ。でも、それはヒトラー自身に経済政策があったからではない。ヒトラーは1920年に党の綱領25項目を発表した。それは急進的な社会主義的な内容で、不労所得の廃止やトラストの国有化、大企業利益の国家分配、土地投機の廃止や高利貸しの死刑などを盛り込まれていたんだ。しかし、これはヒトラー自身が構想したものではなくて無関心だったんだ、さらに後でヒトラーは権力を得るためには軍と大資本を敵に回してはならないことに気づいて、資本家へ近づいていったために党内の社会主義勢力が離反してしまったりした。それでもヒトラーは嗅覚としてそうしたのであって、明確な経済政策などはもっていなかったんだ。
 ではどうして奇跡の回復がなされたのかといえば、1924年にマルクを安定させ「財政の魔術師」といわれたライヒスバンク総裁のヒャルマール・シャハトがライヒスバンク総裁・経済相として活躍したからだろう。
 彼は民主党結党に立ち会うなど民主主義者だったが、後にライヒスバンク総裁でありながら、ウォール街の影響を受けて恐慌に陥った共和国を救うべく外債を発行しようとしたのに反対し、政府の政策を痛烈に批判し、さらに1931年にナチスなどの極右の合同集会ハルツブルク戦線でも政府の弾劾演説を行った。ナチスと財界を結びつけた人物の一人がシャハトだった。 
 それと経済財政的な手腕は別かもしれないが、それだけを採ってみてもシャハトに匹敵できる人物が民主はおろか自民にもいるのか疑問だな」

     ,, - ―- 、
  ,. '" _,,. -…;   ヽ
  (i'"((´  __ 〈    }
  |__ r=_ニニ`ヽfハ  }
  ヾ|!   ┴’  }|トi  }  
    |! ,,_      {'  }  
   「´r__ァ   ./ 彡ハ、   
    ヽ ‐'  /   "'ヽ  
     ヽ__,.. ' /     ヽ
     /⌒`  ̄ `    ヽ\_  
    /           i ヽ \   
   ,'              }  i  ヽ
    {             j   l    }
「でも、今の日本にとってワイマール共和国でのナチス政権誕生過程が参考にならないかっていうと、そうではないよね。
 日本も敗戦によって自由主義的民主主義国家へと変えられたんだし、やる夫君もいっていたように左派はまとまりがないよね。そして、ワイマール共和国でヴェルサイユ条約と左派を目の敵にしていたナチスを始めとする人たちのように、日本にも敗戦によってもたらられた自由主義的憲法や特定の組織や国籍の人やを目の敵にし、それこそが諸問題の原因だとして、新しい憲法・国家をつくりたがっている人たちがいて、その人たちは結構重要なポストについていたりするよね。その人たちを支持する人たちには、ワイマール共和国で帝政をなつかしんでいた右派保守派のように大日本帝国・帝国憲法・教育勅語を懐かしむ復古的な人々がいるよね。さらに、日本もワイマール共和国のように敗戦の復興のために戦前からの官僚組織が維持されたし、自衛隊も旧軍の人間を採用したし、教師や新聞といったものまで維持されているよね。ヒンデンブルクほどではないけど、日本も敗戦からさほど時間が立たないうちに戦争指導者だった人物が首相になったし、他にも戦争を支える側の政治家が戦後もい続けたし、その子や孫まで政治家になっているよね。」


      ,ィZ三三二ニ== 、、
     ,. --{シイィ彡彡三三三ミ丶、
   ,イィ三ミ>'"´ __,,  ̄`丶ミミミミヽ
   /シ彡シ'´ _ ,ニ_二 三‐`、 `ヾミミミヽ
.  ,'ilif'彡' ,' _,..-ュ ̄ fニ三三ミヽヾミミミヽ     
  jlリイ彡! :,ィ彡'"´ :.  :. .:'   `゙' ヾミミミミ',    えっ、呼んだ…?
  l{i{l{lノリ ,'fi´    _, i  :. ';=―一   ',ミミミミ!
  {lilili/{  ' ,.-‐'"´,:,!  ' 、ー-‐ '     Nlハ⊥
  |lilifリハ  .: '、 _,.ノ,'   ,. }、     tf{´i, l|
.  Wリ小! .:     ,ゝ^ ::  ヽ     `!) Vl
  ゞ干ミ} :    /  _J_ 丶     }'´ /
   '、Yヾ :.   l  /ィ三三シ'^     / ノ
    ヾ.f'、:.:.    '´ '"~"'      /l'´
     ヽ._):.:.、          ,. ' l
       トi、ヾ:.. 、     _,. - '   |
      /^ヾ!、丶 ` ¨""´         |
    /ヽ   丶、  `¨¨´       ト、
   /::::::::::丶、  `丶、  丶    | rゝ、


           _,,,......,,, ,--‐-、__
           /: : : : : : : : : : : : : : : : :\
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
      /  .: : : : : : : : : : : l: : ::|: : ::l: : : : : : : : :ヽ
       /........  l   /  |  l   !  l  i   ヘ  
     /: : : :i: : ::i: : ::./i: : : :.i: : ::イ: : ::.!: : :|........!...: : .ヘ    
   _〆'!: : ::l.....:::l...:::/ l....:::;イ:....../|::..../!::....l: : : |: : : ト..!   
     l::i::|..!......l!..7‐ゥ.、x'´!::.../ !.:,/__!:...イ::. : :!:: : .|ヽ!   
     l::|..::!.ヘ....!,r≠、.  !./  /./  l.` | i: : :|::!:: :| |   
      !!i: :|: ::`.!'i゜::::.j` '´  '´r≠ヽ、 |:::::/::!i:::/   
       !ヘ..!: : ::|.廴;.ノ      {゜::::::ソ イ/:::/ !'         
       ヘ!.i: :.l      !     ー' /: : ; :/      
          !.!: :ト     __       /: : /!/
         l.ト、|..\        /.!: / |'
         ヘヘl.ト..| ヽ    , r‐,'イイ:/  '
           ,ゝti    ̄ |./、' ソ
         /:::r'´     └、:\
       _, r'´:::::::|_ __,,..,,_ _ |::::::`ヽ、_
    , ィ:´|: : : : : : : レ'´: . : . :`ヽ、|: : : : : : : |`jヽ
   r'|: :!:::::i: : : : : : :|:_;. -‐' '‐- 、;:!: : : : : : : l:::l : :ト、
  !::::|: :|:::::|: : : : : : :`l _r-‐- 、 /: : : : : : :/::/: :/::::|
  |:::::::!: :l::::::l: : : : : : : |´: : : : : :/: : : : : : :/:::/: :/::::::`i
「阿部さん、こんなところにいたんですか。」


      ,ィZ三三二ニ== 、、
     ,. --{シイィ彡彡三三三ミ丶、
   ,イィ三ミ>'"´ __,,  ̄`丶ミミミミヽ
   /シ彡シ'´ _ ,ニ_二 三‐`、 `ヾミミミヽ
.  ,'ilif'彡' ,' _,..-ュ ̄ fニ三三ミヽヾミミミヽ     
  jlリイ彡! :,ィ彡'"´ :.  :. .:'   `゙' ヾミミミミ',    えっ、呼んだ…?
  l{i{l{lノリ ,'fi´    _, i  :. ';=―一   ',ミミミミ!
  {lilili/{  ' ,.-‐'"´,:,!  ' 、ー-‐ '     Nlハ⊥
  |lilifリハ  .: '、 _,.ノ,'   ,. }、     tf{´i, l|
.  Wリ小! .:     ,ゝ^ ::  ヽ     `!) Vl
  ゞ干ミ} :    /  _J_ 丶     }'´ /
   '、Yヾ :.   l  /ィ三三シ'^     / ノ
    ヾ.f'、:.:.    '´ '"~"'      /l'´
     ヽ._):.:.、          ,. ' l
       トi、ヾ:.. 、     _,. - '   |
      /^ヾ!、丶 ` ¨""´         |
    /ヽ   丶、  `¨¨´       ト、
   /::::::::::丶、  `丶、  丶    | rゝ、


           , '´  ̄ ̄ ` 、
          i r-ー-┬-‐、i
          | |,,_   _,{|
         N| "゚'` {"゚`lリ 
           ト.i   ,__''_  !
          /i/ l\ ー .イ|、
    ,.、-  ̄/  | l   ̄ / | |` ┬-、
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
  /    ∨     l   |!  |   `> |  i
  /     |`二^>  l.  |  | <__,|  |
_|      |.|-<    \ i / ,イ____!/ \
  .|     {.|  ` - 、 ,.---ァ^! |    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{   ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
「そっちの安倍じゃないよ。
 長門さん、ごめんつい話し込んじゃってね。じゃあ、いこうか…」

      ____
     /ノ   ヽ、_\
   /( ○)}liil{(○)\ えぇーーーーーー!!
  /    (__人__)   \ 
|   ヽ |!!il|!|!l| /   |
  \    |ェェェェ|     /

   / ̄ ̄\ 
 /   _ノ  \   
 |    ( ー)(ー) やる夫、男と女の間にはなぁ・・・・いろいろあるんだよ。
. | u.   (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }
.  ヽ        }      / ̄ ̄ ̄\
   ヽ     ノ        /  ⌒  ⌒ \   
    i⌒\ ,__(‐- 、   / u (ー) ::::(ー)ヽ ・・・
    l \ 巛ー─;\  |   :::⌒(__人_)⌒:l   ・・・
    | `ヽ-‐ーく_)  \    `  ̄´  / 
.    |      l      i⌒\、___ ィヽ
    |      |     .l \ 巛ー゙‐;\     
     リー──‐‐t____.    |   ヽ-‐≠ー '′
    l   " ~ ̄ ̄⌒ヽ`ヽ. |゙ ̄ ̄⌒ヽ ̄ヽ
───`ー───ソ  |  |┴‐─-r  |i'  |───────┐
           |  |  |       |,_|, __|              |,
            |_、| __|.     (´_)゙_)             |,、;──‐─────‐───────‐─
            l'___)__)                ,゜ '≒~゚ ⌒ ~ " ~   ̄ ー     ~
                         ;  °。 ;从ヾー~   ~"~       ~
゚           °  。 ゜ `   。  '、从;_゚ノ'~~  ~´⌒    ´~



        the end
[PR]
by sleepless_night | 2008-08-27 01:09 | メディア

やる夫で考える麻生「ナチス」発言 part2

 やる夫で考える麻生「ナチス」発言。の続き。 

    ____
     /\  /\
   /( ●)  (●)  \ キリッ    
  /::⌒(__人__)⌒:: \   「その通りだお!」
  |     |r┬-|     |    
  \      `ー'´     /

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  適当だな・・・
. |     (__人__) 
  |     ` ⌒´ノ      
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ     
   /    く  \     
   |     \   \     
    |    |ヽ、二⌒)、   
「じゃあ、とりあえず、どうして議会が政権を生み出す力を失ってしまったかについてだが、これはワイマール共和国の成立時の事情から考えるのが簡単かな。
 ワイマール帝国の前身であるドイツ帝国には政党も議会も存在したけど、皇帝が官僚からなる内閣を任命して統治する議会制と君主制の折衷のような形態だった。1914年からの第一次大戦は予想外に長引き、ドイツ帝国は経済封鎖で窮乏し、1917年にはベルリンでストが起き、社会民主党からは反戦を表明したグループが独立社会民主党を結成するなど議会でも反戦への動きが高まり、1918年のベルリンでの大ストはパンと平和と軍部支配排除を訴えた。同年の7月18日は「ドイツ軍の黒い日」と言われる敗北を喫し、参謀総長ヒンデンブルクと参謀次長ルーでンドルフは政府に即時休戦の交渉を求めた。実権を握っていたルーデンドルフは議会多数派の政府にアメリカとの交渉をさせるために、バーデン公マックス内閣を組閣させた。憲法が改正され、それまで皇帝にしか責任を負わなかった内閣が議会に責任を負うように変えられた。バーデン内閣はアメリカと交渉し、そこでアメリカは戦争主導者の処分を要求、つまり皇帝ウィルヘルム2世退位を求めた。皇帝がこれをなかなか受け入れずにいるあいだ、ついに無謀な戦争継続命令に不服従の姿勢をとったキール港の水兵が逮捕された。逮捕に抗議した水兵たちは反乱を起こし、労働者も加わり、市民革命的な軍部・君主制打倒の動きへと発展し、帝国内で最も伝統的なバイエルン王の退位へと繋がった。ベルリンでもゼネストが行われ、軍も任務を放棄した。事態の激化を前にバーデン公マックス首相は独断で皇帝退位を発表し、軍も皇帝を見捨てたことで皇帝は退位してオランダへ亡命した。」

     ____
     /⌒  ⌒\
   /( ●) (●)   \
  /::⌒(__人__)⌒:: \  
|     |r┬-|       |
  \      `ー'´     / 
「市民革命によってワイマール帝国が生まれたっていうことは、すごく民主的なんだお。」

  / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●) 
. |     (__人__) 
  |     ` ⌒´ノ      
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ     
   /    く  \     
   |     \   \     
    |    |ヽ、二⌒)、 
「そうとも言えるな。だが、ワイマール共和国の成立はそれほど単純には終わらなかったんだ。
 革命のきっかけとなったキール軍港での暴動の主役となった水兵と労働者は労兵評議会(レーテ)と言われる組織を結成して統治に当たった。この評議会による統治の形式は全国へと広がった。
 つまり、議会や政府とは別に、一部の人々からなる組織が革命のイニシアチブをとり統治の実権を握る状況が生まれてしまった。
 これは政府に加わって新しい国家の建設を担おうとしていた議会多数派の社会民主党・民主党・人民党にとっては障害となるものだったけれど、戦争中に社会民主党から分離した独立社会民主党にとっては好機となった。独立社民は反議会的な暴力革命による国家建設を目指して、戦争中から社民の支持基盤だった労働組合への浸透を図ってきたから、レーテ支配による国家は理想に沿うものだった。
 独断で皇帝退位を発表したマックス首相は辞任して、社民党のエーベルトへと首相を引き継いだが、社民は一党で議会多数がなかったので連立の交渉を独立社民ともすることになった。
 その社民と独立社民の連立交渉の間に、独立社民が社民より先に勝手に社会主義共和国成立の宣言をする動きが出たため、社民のシャイデマンがこれまたエーベルトに勝手に共和国成立の宣言をしてしまった。
 でもまだ決着はつかなかった。
 さっきも言ったように、革命を主導したのは議会ではなく、兵労評議会だった。だから、政府がつくられても、それを評議会が承認しないといけなかった。
 そこで共和国宣言成立宣言を先行された独立社民は、政府の主導権を奪うべく、兵労評議会に手を回して政府の方針を自分たちの構想に沿うようにしようとした。
 だが、社民も評議会に手を回してあり、多数派を抑えることでベルリン評議会の支持を得て暫定的な承認を得た。
 独立社民は再度の巻き返しを図って全国評議会に向けて運動をしたが、これも成らなかった。
 結果、社民の主張である選挙を経た議会制による国家の運営が、独立社民の主張した評議会制に勝ったのだが、独立社民も連立に参加している以上、すんなりと対立が解決するはずはない。
 両者の対立は議会制と評議会制という違いにも現れるように、同じ左派であるが、左の程度・スタンスの違いによる。独立社民は暴力革命によって社会主義国家を建設し、企業の社会化や反軍的な構想を実現しようとしていたのに対し、社民は左派であるが、現実的に見て戦後の荒廃から復興するためには資本家の協力が必要であり、軍部の力も必要であるという穏健な姿勢を採っていた。
 この不揃いな政府の状態下で、革命の余波でベルリンに残留して宮殿に駐屯していた水兵団が政府に恐喝的な要求をし、それが容れられないと官邸占拠し人質をとった。
 革命後の政府は武力鎮圧を決定したが、しっかりと支配できる軍がなかったため、旧軍で残存していた部隊に援助を求め進撃させたが、逆に市街戦の中で市民に武装解除され、結局、交渉によって王宮からの撤退を承諾させた。
 この事件の対処、旧軍への姿勢が合わないとして独立社民は政府から抜けてしまった。
 その後も独立社民も関わる大ストや暴動などが起き、これに対処するために政府は旧軍の将校団を引っ張り出すために具スターフ・ノスケを司令官にし軍隊編成を早急に行い、本格的に武力による鎮圧に乗り出した。
 そしてやっと、選挙が行われて、国民に選ばれた議会による政府が生まれた。
 もちろん国民は左派だけではないので、右派・保守派で帝政を支持している政党もワイマール共和国の選挙に参加した。」

     ____  
   /      \
  /  ─    ─ \ 
/    (●)  (●)  \  
|       (__人__) |  
/     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /
「革命はやはり大変だお。志位はわかっているのか。でも、結局は選挙が実施されて議会と政府が作られたんだから、いいのではないかお?」

  / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●) 
. |     (__人__) 
  |     ` ⌒´ノ      
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ     
   /    く  \     
   |     \   \     
    |    |ヽ、二⌒)、
「いや、議会と政府が選挙によってできたのはいいんだ。
 だが、今言ったことから二つのことがワイマール共和国成立時の問題として見出せる。
 一つは、政府は革命の残存勢力を鎮圧するために軍を作ったんだが、それは政府が一から作り上げたものではない。旧軍の将兵や軍統帥部を利用してしまった。ドイツ帝国の軍はもともと皇帝の軍隊で、将校は貴族出身でバリバリの帝国軍人で思想は保守的な人間が多い。当然、共和制に対して忠誠や思い入れなどはない。そんな軍を共和国は内臓してしまった。
 それを象徴する事件が後に起きる。カップ一揆だ。
 カップ一揆は1920年に極右政治家カップがベルリン郊外の2個旅団を率いてベルリンへ進撃して首相と称したが、市民が抗議のゼネストを行い、何もできずに4日で首相辞任を発表して逃亡したというショボイ事件だ。カップの軍隊がベルリンへ進撃したとき、当然、政府は軍で応戦しようとした。ところが、カップが率いていたのが国防軍の旅団だったことを持ち出し、当時軍務局長だったゼークトが「国防軍は国防軍を撃つことはできぬ」と命令を拒否してしまったんだ。このように、信頼できる軍を持たなかった政府は、余計に軍の独立を許し、軍は国の中の国のような存在を気づき挙げてしまった。
 軍とはちょっと違うけど、同じくドイツ帝国を支えていた官僚組織もワイマール共和国は引き継いでしまったんだ。
 軍と官僚という近代国家に必要な二つの組織を、どちらもドイツ帝国のものに頼ってしまったのはワイマール共和国の根本的で、しかし避けられなかったミスだな。
 官僚の中でも、三権の一つである司法も保守勢力が残存した。
おかげで、1923年にヒトラーがバイエルン州政府をクーデターでのっとろうとして失敗し逮捕されたとき、裁判で反共和国的な右翼の裁判官によって叛逆罪として極めて軽い5年の刑を下され、監獄でも優遇されて『わが闘争』を執筆して、わずか9ヶ月で仮釈放されたんだ。
余談だけど、憲法学者でもあるベルハルト・シュリンクが書いた『朗読者』では、第二次大戦後も戦前からの裁判官がい続けたことへの若者たちからの非難の運動にいまいち乗れない主人公が描かれていたね。
 もう一つは、選挙までの過程で分かるように、新しい国を作ろうとする左派の集団がお互いに批判しあってバラバラだ。独立社民は社民の穏健なやり方に我慢できず、何かとデモや暴動にかこつけて再度の革命を目指してし、かえって自分たちが嫌う軍の再生を加速させてしまったし、独立社民も一枚岩ではなく知識人主体のスパルタクスは後に独立社民から離脱して共産党になって、後々に左派の統一を妨げることになった。それによって利益を得たのは右派の政党だった。もちろん、ナチスもその一つだ。」

     ____
    /      \ ( ;;;;(
   /  _ノ  ヽ__\) ;;;;) 
 /    (─)  (─ /;;/  
 |       (__人__) l;;,´  
 /      ∩ ノ)━・'/   
 (  \ / _ノ´.|  |
 .\  "  /__|  |
   \ /___
「いつの時代も、サヨは内ゲバが好きなんだお」

  / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (●)(●)|
. | (__人__  | 
  |  ` ⌒´  ノ
.  |       }
.  ヽ      }
   ヽ    ノ       
   /    く  \      
   |     \   \       
    |    |ヽ、二⌒)、      
「左派一般の話は別として、ワイマール共和国での党同士や党内でのまとまりのなさを象徴するのがミュラー内閣とシュトレーゼマン内閣での出来事だ。
       関・係・ないから       γ⌒))⌒) ))  関係ないから
           ヾ  __(((⌒ヽ     / ⊃__ ゞ
            /⌒社民 ⌒⊂_ ヽ彡  / / ⌒社民⌒\
   (⌒ミ(⌒ヽ∩/( ⌒)  (⌒) |(⌒γ⌒)( ⌒)  (⌒) \ ∩⌒)彡⌒)
       ヽ  ノ| :::⌒(__人__)⌒ ::|  彡_ノ :::⌒(__人__)⌒ 〃/ ノ
        \ \    )┬-|   / ミ  ミ     |r┬(    / / ))
    (((⌒ (((⌒ )、 ヽ_ `ー‐' ,/ / ≡ 彡 _`ー‐'  /( ⌒)ミ⌒)
        \ \ /                         / /
                 / ̄ ̄ ̄ \ ←社民連立内閣の首相
                /   :::::\:::/\  
               /    。<一>:::::<ー>。    
              |    .:::。゚~(__人__)~゚j   
               \、   ゜ ` ⌒´,;/゜     
               /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。  
               / ,_ \ \/\ \       
                と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._
 1928年の選挙で共和国擁護派の優勢状況がつくりだされた国会で、第一党となった社民のヘルマン・ミュラーが組閣を命じられた。これで安定した議会勢力を持つ内閣ができたのかというと、連立を組む社民・中央・民主・人民・バイエルン人民は内閣に参画しようという気を見せず、閣僚は出しても「個人資格」「連絡員」という名目で、さらに首相を出している社民内部では中央や人民といったブルジョアを支持基盤に持つ正統との連立を嫌がり、内閣への協力姿勢を見せなかった。
 そして、内閣が最初に取り組んだポケット戦艦建造問題で、内閣が承認の閣議決定をしたことへ、社民は大反発し、建造案否決の動議を出して、閣僚に賛同させた。つまり、内閣は自分が閣議で決めたことを議会で否決するという馬鹿げたことを演じてしまった。
 もっとも、社民は選挙で「戦艦よりも給食を」をスローガンに戦って勝ってしまった以上、仕方のなかったことかもしれないが。
 1923年の社民・中央・民主・人民党の連立シュトレーゼマン内閣では、ザクセン州とチューリンゲン州で社民共産政権がソ連のコミンテルンの指示で革命へと進もうとしたのを、内閣が非常事態を宣言し国防軍を出動させて州政府を潰した。ところが、バイエルンでは右派が中央政府の法律適用を拒否して禁止されていた右翼団体が公認されて右派独裁状態で明確な憲法違反状態にあった。これにたいしては中央政府が対処しなかったのに、ザクセン・チューリゲンでは軍を出動してまで鎮圧したことに抗議して社民が連立から離脱、しかも、シュトレーゼマン内閣に内相として入閣していたウィルヘルム・ゾルマンに内閣不信任案を提出させ、内閣はこれを受けて辞任した。実は、この倒閣の背景であった左右への対処の違いには、バイエルンの右派は国防軍と通じていて、内閣は軍を出動させようにもできなかったという事情があったんだ。」

       ノ L____
       ⌒ \ / \
      / (○) (○)  \      
     /    (__人__)   \    
     |       |::::::|     |   
     \       l;;;;;;l    /l!| !
     /     `ー'    \ |i
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |そ  ドンッ!!
    `ー、_ノ       ∑ l、E ノ <
               レY^V^ヽl
 「そんなんじゃ、誰も議会や政府を信頼できなくなってしまうお!」


        / ̄ ̄\      
      /       \         
      |::::::      \   
     . |:::::::::::   |   
     .  |:::::::::::::: }          ....:::,,  ..
     .  ヽ:::::::::::::  }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
 ――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――  
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━
「だろ。このように自党の閣僚を犠牲にするケースは珍しくなかった。ワイマール共和国での内閣の平均寿命は約253日。これは選挙が比例代表制だったために少数政党が生き残りやすかったことを考えても、政党同士の連立がいかに脆かったか、政党がいかに政権を粗末にしたかがわかる数字だ。
でも、それだけではないんだ。
最後のダメを押したのは共産党と他の左派が反ナチスで結束できなかったのは間違いないのだけれども、それだけではヒトラーの首相就任はならなかった。
きっと、これだけなら、まだヒトラーは首相にはなれなかっただろう。」

         / ̄ ̄\
        /       \
       /:::::::::::::: ヽ    
       |::::::::::::::   | 
        ヽ::::::::::   /      
        /:::::::::::: く        
 ――――|::::::::::::::::   \ -―,――――  
         |:::::::::::::::  |ヽ ⌒)
「そ、それを教えてほしいお・・・」


 続き→やる夫で考える麻生「ナチス」発言  part3
[PR]
by sleepless_night | 2008-08-27 01:06 | メディア

やる夫で考える麻生「ナチス」発言。

         ____
      /       \
     /   ─    ─ \      
   /     (●) (●)  \   
   |       (__人__) |    
   \     ` ⌒´   /      
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
 製作者からのお知らせ。
 以下を製作したのはドイツ近代史の専門家ではありません。
 麻生太郎自民党幹事長の発言を聞いたとき、さすがにそれは歴史的に当たっていないだろうと私は思いました。そして私が接した限りマス・メディアでは発言の内実が正当なものか否かよりも、表現の問題として捉えているように思え、非常に物足りなさを感じました。(尚、私はナチスに似ている内実があるなら、似ていると言うのは問題がないと考えます。民主も社民も小泉・安倍元首相らをヒトラーに喩えてきたのだし。)
 東京新聞ではドイツ史の専門家(熊野直樹九州大院教授と望田幸男同志社大教授)のコメントを載せて内実面で発言を否定しています。これも、紙面の制約で若干物足りない加え、ネットでの麻生発言への反応としてもう少し内実的な面のものがあってもよいのではないかと思い、以下を記しました。
 だた既に、ワイマール共和国史やヒトラーの総統への道については優れた詳しい解説がネット上にも存在し、後者はやる夫形式でまとめられています。ですので、専門家でもない私が一般書を持ち出して、しかもやる夫を持ち出してまでネットに出してよいものか躊躇いを感じています。
 ですから、かなりの部分、自己満足の作品です。それをいっては、ブログ自体がそうなのですが、もし役に立つ部分がある、興味を持つきっかけにでもして下さる人がいらしたら幸いと思い、これを提します。
 主にこれら数点の本を参照して製作者なりにまとめてみたものです。
 ・『第三帝国の興亡』ウィリアム・シャイラー著 井上勇訳(創元社)
  ・『ドイツの独裁』K・D・ブラッハー著 山口定 高橋進訳(岩波書店)
 ・『ワイマール共和国物語』有澤廣巳著(東京大学出版会)
 ・『ヒトラー 独裁への道』ハインツ・ヘーネ著 五十嵐智友訳(朝日選書)
 ・『ワイマル共和国』林健太郎著(中公新書)
 ・『ヒトラーとは何か』セバスチャン・ハフナー著 赤羽龍夫訳(草思社)
 AAについては以下から利用させていただきました。AAを製作・育ててきた人々へ感謝。
やる夫・やらない夫AA 
 ・やる夫見聞録 
 
 
            *


      、z=ニ三三ニヽ、
      ,,{{彡ニ三ニ三ニミヽ
     }仆ソ'`´''ーー'''""`ヾミi
     lミ{   ニ == 二   lミ|     
.      {ミ| , =、、 ,.=-、 ljハ
     {t! ィ・=  r・=,  !3l      
      `!、 , イ_ _ヘ    l‐'
       Y { r=、__ ` j ハ─
.  r‐、 /)へ、`ニニ´ .イ /ヽ
  } i/ //) `ー‐´‐rく  |ヽ      
  l / / /〉、_\_ト、」ヽ!
  /|   ' /)   | \ | \
「審議をしないとどうなるか。ドイツでは昔(国政が停滞し)、ナチスに一度(政権を)やらせてみようという話になった」

      ____
     /⌒  ⌒\
   / ( ●) (●)  \
/::: (_人__)⌒::: \  
|      |r┬-|      |
  \      `ー'´     / 
さすが、ローゼン閣下、ドイツの歴史にも詳しいお! ねじれ国家や不信任案や審議拒否で議会が粛々と進まないからって、民主党に政権を取らせたらナチスのようなことになるかもしれないお。やっぱり、自民麻生政権以外に日本は任せられるのはいないお。

        ___
       / ⌒  ⌒ \
      /(⌒)  (⌒ )  \   
    /   ///(__人__)/// \  
     |   u.   `Y⌒y'´   |  
      \       ゙ー ′  ,/   
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ  
      / rー'ゝ       〆ヽ  
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|  
    | ヽ〆        |´ |
 あれは長門ちゃんだお。いつも本を読んで話しかけにくいけど、今日は頑張って話しかけてみるお。

       ____
      /\  /\
    /( ●)  (●) \   キリッ    
  /::::(__人__)::: \    
  |     |r┬-|     |    
  \      `ー'´     /
「長門ちゃん、今日は何を読んでいるんだお?」


           __, -──- 、
        / /        `ヽ
          / ,'           \
       /  ! / / ,  ,   } ヽ  ヽ    
       ,'  │ {, 'i ィレ'レ|  ハ ハ !  ハ   
      ,イ   |   |‐‐‐-、 レ' _ム__!_i/ ! }   
     ~ レ、 i  ,ィ≠、     ___ }ノノ}ノ   
        N,ヘ  V:rソ    {!::jテ//
        ` レヽ ! ̄   ' └' //
          `ヘ |>、  ‐   , イ/      
            ,∨- ≧ー≦´W   
         ,<ヾ、  \ニミ! `¨ヽ__    
         /::::\ , ――┘、/, ―‐┤   
         /::::::::::|  ̄ ̄ ̄ iー 'i    , !、  
         /::::::::::::レ┐    |  |   {  l
         〈:::_/::{  ]    |  |  └,ヘ
       /::´::::::::::>ー'    │ !     !::}
        {::::::::::/::|_____|_|_, ---':ソ
       `ー‐フ:::::::::::::::|/廾、ヽ:::|`ー‐ ´
「『第三帝国の興亡』。ヒトラーのナチスの発生から壊滅までを描いたノンフィクション」

      ____
     / \  / \   ローゼン閣下のおかげで、カッコいいところを見せ付けられるお!
   /  ( ●)  (●)  \ キリッ    
  /:::⌒(__人__)⌒:: \    
  |     |r┬-|      |    
  \      `ー'´     /
 「ヒトラーのナチスドイツが審議拒否をして議会が停滞したから、一度やらせて見せようってなった結果、ナチスは政権を取れたんだお。」

         ,.. --- ..
       ,..-.:. ̄.:..:..:.. : : : : `丶、      
      /:..:..:. ..: : : : : : : : : : : : :\     
    /:ヘ=、、:._: : : : __:ヽ:_: -^,.ト、    
   ノ:..:..:./:..  ̄: :7´:―― : :|‐: :´、: ヽヽ   
  ー-/:..:.i:../:. : : ,/:..:.:イ:.ハ:.. : j:.. :}:.、ヽ:. トヽ  
    !:..:..:|:.{/:..ィ_jz≦ノ ' }:./_}_イ:. } |:.|||  
    Vl:.:.|:. Vl´「_ 、` ノ′ _ノ:ソ:イ: リ ノ    
      }:ハ: : l f7「::`ハ   /:::7}7イ:/}/     
     ノヘーl、: :!VZツ     ヒ:ノ/:.//      
        `ィヘ:ト、 _   _   ノ:イ/     
      rく、\` ヽ二コ:千:|K、′     
      |:..:ヽヽ\: :Yニ|: :!:/j!:.l
      ト:..:..:.\ヽ\!r|┴=ミ!r ァ7
     |!::.:..:.ヽ\ヽ|!    /7 /
      j::.l::..:..:.⌒ーァ⌒}   / / /^}
      |::.:.\::..::.::.::>ー'―-L∠_¨´
「やる夫くん、詳しいのね。私はこの本に書いてあることしか分からない。いま、ヒトラーが政権を取る場面だけど、シュライヒャーに追い出されたパーペンが権力奪還のためにヒトラーを担いで、オスカールやマイスナーの協力で反ヒトラーだったヒンデンブルクを脅したりして説得したという風に描かれている・・・。」

      ____
     /ノ   ヽ、_\
   /( ○)}liil{(○)\  ぱ、ぱーぺん?
  /    (__人__)   \  おすかる?
|   ヽ |!!il|!|!l| /   |
  \    |ェェェェ|     /
                    _____  
           r⌒ヽ、   .  / ー  ー\    オスカル!
          / \  \. / ( ●) ( ●)   ベルバラか!
         _/ / ヽ   /     (__人__) \   
        〈__/  . |  |       ` ⌒´ | 
             /  .\     i⌒\   /    
            ./   / ⌒ヽ, _.ヽ  .\/
        .__   r  /     |/ー、\   \ 
       ."ヽ |  i,        ノ   .\^   i
         .| ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
         .i /  //  ./   
         .ヽ、_./ ./  /    
             ./ /      
           .ノ.^/   ダッ
           |_/  
 
         / ̄ ̄\
       /       \         ____
      |::::::        |     /      \ 「と、言うことなので
     . |:::::::::::     |  /  ⌒   ⌒   \    教えてほしいお」
       |::::::::::::::    |/   (●) (●)    \ 
     .  |::::::::::::::    } |    (__人__)   | 
     .  ヽ::::::::::::::    } \    ` ⌒´    _/ 
        ヽ::::::::::  ノ   |         \
        /:::::::::::: く    | |      |  |
    -―――――|:::::::::::::::: \-―┴┴―――――┴┴――


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \     麻生の受け売りで歴史を語のはまずいだろ・・・常識的に。
 |    ( ●)(●) 
. |     (__人__) 
  |     ` ⌒´ノ      
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ      
   /    く  \     
   |     \   \     
    |    |ヽ、二⌒)、   
「オスカルじゃなくて、ワイマール共和国大統領ヒンデンブルクの息子のオスカール・フォン・ヒンデンブルク陸軍少将だ。当時、ヒンデンブルク大統領は脳卒中の後遺症で一日に活動できる時間が殆どなくて、意思決定が周囲の官房長マイスナーや息子に大きく影響されていた。
フランツ・フォン・パーペン男爵はシュライヒャーの前の首相だ。オスカールと陸軍大学の同窓で、早くから後の国防相グレーナー将軍に眼をかけられて出世をし、“シュライヒャー・マシーン”と呼ばれる人脈・情報網を作り上げて国防省支配を通じて政治に絶大な影響を与えていたクルト・フォン・シュライヒャー将軍に傀儡として無能で無名な右派の政治家だったパーペンは利用されて首相の座についた。しかし、パーペンは自分の属する中央党の首相だったブリューニングを失脚させて首相になったので中央党から除名されたことに加え、シュライヒャーの操り人形であることに満足できなかったパーペンは民族主義的挙国一致内閣を自称して反民主的な階層国家制度を提唱・議会を無視して施政方針を出版したりして議会の大反発を招き、そうでなくとも議会に基盤のなかった内閣なのにさらに議会から支持を得られなくなる墓穴を掘り、選挙でもまとまった支持母体を得られず、終いには大統領の緊急令によって憲法無視の新国会を作るクーデターを試みようとしたが、肝心の国会解散の命令書を持ってくるのを忘れたすきに、共産党に不信任案を提出されて可決されてしまうという間抜けな結末に終わった。
 そこで引っ込めばいいのに、パーペンは自分を首相にして国防相として入閣していたシュライヒャーが、自分を見捨ててシュライヒャー自身が首相となったことに怒り、復権を目指すところに、選挙で議席を初めて失い「ヒトラー神話」に限界が見えた上に国会解散時の共産党への協力で資本家から資金を引き上げられて組織的に崩壊寸前になっていたナチスから財界支持者が近づき、ヒンデンブルクの信頼があったパーペンとヒトラーを会談させてお互いの復権協力に合意した。パーペンのヒトラー擁護演説でナチスへの財界からの寄付が復活し、パーペンはヒトラーを含めた民族主義的統一勢力による政権をヒンデンブルク大統領に打診して好意的感触を得られ、大統領側近のマイスナーもヒトラー首相に向けて動き出した。ヒンデンブルク大統領は反ヒトラーだったが、マイスナーの説得やオスカールと大統領の所領に関する脱税追求の脅し、状況を察したシュライヒャーによるヒンデンブルク排除のクーデターの動きなどによって、ヒンデンブルク大統領はヒトラーの首相任命を決めた。
 たぶん、長門がいっていたのは、こんなことだと思うが。」

  / ̄ ̄ ̄ \  ホジホジ
 / ―   ― \
/   (●)  (●)   \   
|     (__人__)  |
  \   mj |⌒´   /
    〈__ノ
  ノ   ノ
「で、オスカルはどうしなんだお?」

   / ⌒ヽ     }  |  |              
   /  へ  \   }__/ /           / ̄ ̄\
 / / |      ノ   ノ          / ●)) ((●\’, ・
( _ ノ    |      \´       _   (   (_人_)’∴ ),  ’
       |       \_,, -‐ ''"   ̄ ゙̄''―---└'´ ̄`ヽ   て
       .|                  ______ ノ    (
       ヽ           _,, -‐ ''"  ノ       ヽ   r'" ̄
         \       , '´        し/.. >>@ | J
          \     (           /      |
            \    \         し-  '^`-J

              ____
            /      \_
           / /   \( ;:;:;)  「冗談です」
         /( ;:;:;:;:;ノ   (=)  \   
        (;:;:;:;;;:;  (__人__)   .:::::)  
        / ||    ` ⌒|||   ,/  
        / / |\/ /  /l |  ̄
        / /__|  \/ / | |   
       ヽ、//////) /  | |     
        /  ̄ ̄ /   | | 
     ____,/  )--- ヽ   ヽ つ  
    ⊂---― 'ー----'

      / ̄ ̄ ̄ \
    //     \\
   /  ( ●)  (●)  \ 
   |    (___人___) | 
    \__ `ー ' __/  
   /    ヾ、 //  \ ヽフ
   ヽ_⌒)ハ //   | レつ||)
  i⌒l ミ゚Д゚,,彡⌒)  ヽ_ノ  ̄
  |  | ヽ__"" ヽ_ノ|  |
  ヽ  ̄ ̄ ̄/ ヽ ヽ_ノ
    ̄ ̄ ̄ /  /ヽ__)
       (__ノ
 「ということは、タロウの歴史認識はまったくの出鱈目だということだね。やはり、漫画ばかり読んでいる大人は、これだから困るな」

  / ̄ ̄\
 /   _ノ  \   
 |   ( ●)(●)    
. |    (__人__)   
  |    ` ⌒´ノ   
.  |        }     
.  ヽ       }
   ヽ    ノ  mm  
   /    ̄ ̄ ̄ つノ   
   |    | ̄ ̄ ̄  
「そうあわてるな。確かに、ナチスが審議拒否をしたから国民がナチスに政権を一度与えようと考えたから、ナチス政権が誕生したというのは、既に述べたように正しくない。ナチス政権の誕生はシュライヒャーやパーペンの権力闘争の結果生まれて、彼らの意図を裏切って暴走した。ナチスは最後の選挙で相対的第一党を維持したが、得票率で前回選挙の37%から33%に減少し、票を200万・議席を34失ったことから、国民の支持がナチス政権誕生の直接的な原因とするのも無理がある。しかし、そもそも、シュライヒャーという軍人が政権誕生をコントロールできる状況や議会が政権を生み出せない状況、脳卒中の後遺症で殆ど活動ができない大統領が首相を任命していること自体が無茶なことだと思わないか?それを考えないで、麻生の歴史認識について最終的な判断を下すのは早いだろう。」

 続き→やる夫で考える麻生「ナチス」発言 part2
[PR]
by sleepless_night | 2008-08-27 01:03 | メディア

モナとWaiWai./毎日新聞「変態」コラムに対する海外メディアの反応。


 毎日新聞が英文サイトのコラムの件で改めての謝罪と検証の記事を掲載した。 
 ネット上での広報的な対応の不味さを加えても、私はほとんどこの件に興味はないし、意味がないと思っている。
 意味がない、というのは二つの点で言える。
 ひとつはコラムの影響という点、もうひとつは毎日新聞や日本の新聞が海外へ情報発信しようとする点について。

 コラムの影響という点については三つのことが言える。
 第一に、毎日新聞の存在も位置づけも海外で広く認知されているとは思えないこと。特に毎日新聞がクオリティ・ペーパーだとは思われていないだろうから、「日本人の名誉」云々に繋がるような話とはなりにくい(グーグルでnewspaper japan を検索すればJapan timesと朝日が1ページ目で出る。普通、日本の新聞を英語で読みたい人はそのどちらかを読むだろう)。
 第二に、同コラムへアクセスする北米の人々で、面白半分の興味でコラムを読んでいる人々は日本に対してその程度の興味しかなかったのだからコラムが毀損できるような日本のイメージや利益がそもそも殆どなかった。日本について真面目に知ろうとする・興味があって情報へ継続的にアクセスしている・基礎知識があるような人々なら、この記事や翻訳元の週刊誌の位置づけはわるので、やはり毀損されるような日本のイメージや利益はほぼなかった。
 第三に、もともと日本について海外で流される他の情報にもこの程度はある。なので、第二と同様に新たに毀損されたものは殆どないと言える。コラムを担当していた外国人記者もそんな「海外の日本情報」の感覚から書いたのだろう。
 したがって、このコラムに憤りや屈辱を感じることは私はない。
 無知だったりや偏見を持つ人々は、日本について特別にそうだというのではなく、無知であるにも拘らず正そうとする意欲を持たないことや偏見を持つこと自体に問題があるので、どこにいようが重要ではない。たまたま今回は、海外で日本について間違った情報から偏見に満ちたイメージを作り上げた人がいたかもしれないだけ。

 毎日新聞や日本の新聞などの報道機関が海外へ日本の情報発信を担おうとする姿勢が無意味だというのは以下の小林雅一さんの指摘から分かると思う。

 “必ずしも日本の政治・経済に魅力がない、というわけでもなさそうだ。ただ全体的に見た場合、やはり外国人特派員がこの分野の報道に熱心であるとは思えない。彼らが真剣に取材するのは、むしろ日本のいわゆる「社会ネタ」である。”
“(外国人特派員の)話を聞きながらハッと気づいたのだが、彼らの仕事ぶりは日本の週刊誌の記者にそっくりである。日本のいわゆる「シュウカンシ」はいかがわしくて下世話で、その分、結構新聞なんかより面白いネタを掲載する。これは何故かというと、日本の記者クラブ制度から締出されているので、そういう特殊領域のネタを拾わざるを得ないからである。しかし考えてみれば、日本にいる外国人特派員もシュウカンシの記者とそっくり同じ境遇にあるのだから、両者の記事が似てしまうのも当然なのである。”
“結局、一般的に言って日本にいる外国人特派員は、記者クラブなど閉鎖的な情報環境のせいで、政治などの日本の中核を伝える報道にはあまりやる気がない。その分野の報道は日本の新聞記事のリライトで適当にお茶を濁しておいて、むしろ面白おかしい社会ネタなどを一生懸命取材して、母国に書き送っているのである。”
                『隠すマスコミ、隠されるマスコミ』(文春新書)

 そう、毎日新聞という日本ではそれなりに知られている「大新聞社」がいくら海外へ向けて発信したといっても、日本へ派遣されている先進国のアジェンダ・セッティングに影響を与えられるような報道機関の記者が取材でき、発信できることに比べれば限りなく無に近い。
 日本の経済的停滞と新興諸国の急成長によって、彼らの日本に対する興味は高くはないだろうし、アジア取材の拠点が日本から移転されている現状を考えれば、特派員が日本から政治・経済を自由に取材できる環境から記事を発信する意味は低下しつつあるのかもしれないが、それでも毎日新聞が束になって「情報発信」することより遥かに効果があるだろう。

 だから、毎日新聞が“新たに社説や「時代の風」など著名人による評論を翻訳して掲載し、海外の日本理解を深めるべく努めます。同時に西川恵専門編集委員を中心にベテラン国際記者らによるアドバイザリーグループを新設し、企画や記事の内容をチェックする体制をとります”と言うのは好きにすればいいのだけど、そんなことにコストをかけるなら、率先して記者クラブ問題を解決するほうが何百倍も日本の情報発信に資するし、ジャーナリズムにとって貢献する。

 意味がないことだが、おそらく毎日新聞としてはかなり踏み込んだつもりなのだろうこの対応をとらせたのは、スポンサー離れの影響なのだろうか。
 
 ニュース番組に出演しながらCM出演することが放置されながら、山本モナが野球選手と不倫という本当にどーーーーでもいい事が、番組降板・謹慎へとつながるこのマス・メディアとそれを支える視聴者の現状を考えると、記者クラブは死守されうるだろう(ニュース番組出演者のCM出演は報道の自由や視聴者への責任第一にすることに対する裏切りだが、不倫はニ岡の家族に対する裏切りにはなっても、報道の自由や視聴者を裏切ることになっていない)。
 こんな下らない・影響力のないコラムをネタに毎日新聞へ粘着するくらいなら、自分の病気を出汁に(不払いのあった)保険会社のCM出ている毎日出身の鳥越俊太郎を何とかしてくれ、と思わずにはいれない。
 重要な点が放置されて、どうでもいいことが大騒ぎされ、殆ど意味がない「改革」が行われる。
 黒船が来ない限り、世界に対する情報発信を乗せた日本のマス・メディアはそんな感じで柳田邦男を艦首にくくりつけて沈んで行くのだろう。

                       *
追記

  J-CASTが“国際的な反響”と言う記事の翻訳。
 基本的には、私訳なので正確さを保証するものではない。
 特に疑問がある部分や訳に迷った部分については、カッコ内に原文や単語を書いておいた。
   
 “米名門紙の捏造事件を引き合いに出す米国メディア”の例として出されたブログGAWKERの記事 Made-Up Japanese Sex Stories.は ここに翻訳がある。
 Bullshitと言う単語を出してくるメディアをテレグラフと並べるJ-CASTの勇気(?)を称えたい。
            
 以下がイギリスのテレグラフとオーストラリアのヘラルドの記事。
 なお、The ageの記事:Japanese set the blogs on’ sleazy Australian’ writer.(日本人はブログに低俗なオーストラリア人ライターを襲わせている)の著者もThe Sydney Morning Heraldと同じJustin Norrieなので、記事は言い回しを変えてあるだけ。J-CASTは、なぜ著書が同じであると書かなかったのか意味不明。
 世界的に無名な毎日新聞の記事が与えたかもしれない日本の悪印象より、これらの世界的に有名な新聞によって伝えられた日本の状況のほうが日本への悪印象を広めたのではないかと私は印象を持った。
 特に、Justinの記事は「野蛮な鯨殺し日本人ナショナリストが不注意な西洋人を襲っている」といった構図が見える。毎日新聞の近年の受け止められ方に触れられていないことも、リポートとして突っ込みの甘いものであることを感じる。(また、毎日新聞が世界で4番目の発行部数をもつ日本語新聞である、と述べているが、読売・朝日についで3位が正しいのではないか。基本的な事実を間違えているなら、記者の日本についての知識が知れる) 記事の言う殺害予告や2ちゃんねるの存在が、読み手であるイギリスをはじめとする英語圏の多くの人々にどう受け止められるのか。もっとも、それでさえライアンのコラムと同程度にしか興味を引かないかもしれないが、もし2ちゃんねるがイギリスにもあれば「痛いニュース」にスレットが立つだろうと思う。


                      *
 日本の新聞が恥ずべきセックスコラムが間違いだと認めた。(Japanese newspaper admits infamous sex column was unture)
 日本を代表する新聞の悪名高いセックスコラムが、その新聞が載せていた沢山のわいせつ話が嘘だと認めた後、中断させられた。
  Telegraph by Matthew Moore

 ワイワイコラムは近親姦や獣姦や郊外の酒色についての多くの話を展開した。
 英語で報じられた記事(stories)は日本の雑誌から実生活についての話を直訳したものとして提供されていた、しかし現在、毎日新聞は謝罪し多くが誤った情報を含んでいたことを認めた。
 批評家(critics)はワイワイコラムが異常性欲者としての日本人女性というステレオタイプというプロパガンダを助長し、日本の国際的な評判を傷つけたと非難している。
 コラムで報じられた多くの記事は掲示板(message board)やブログを通じて世界に広がった。
 記事は日本の信頼ならないタブロイドを情報源とし、尊敬される毎日新聞の旗印の下に発表され信頼を与えた、と批評家たちは主張した。
 社内調査は疑問視されているその多くのコラムの記事が掲示される前に殆どチェックされていなかったことに加え、問題の深刻さが社内で検出されなかったことを指摘した、と新聞は声明で述べた。
 “これらの記事は…日本もしくは世界に対して発せられるべきではなかった。”と声明はつけ付け加えた。
 “私たちは多くの人々を不快にしたこと、多くの人々の評判を傷つけたこと大変な迷惑を起こしたことと共に、毎日新聞への公衆の信頼を裏切ったことを深く謝罪します。本当に申し訳ありません。”
 そのコラムは現在毎日デイリーニュースウェブサイトから削除されている、そして女性編集者がそのサイトを運営する予定だ。
 “私たちはこの出来事の結果失った公衆の信頼を取り戻すよう全力を尽くし、そして日本への日本についての情報を適切な態度で発信する英語サイトを修復します。”
 ワイワイコラムは2001年に印刷版から撤退していた。

                       *
 日本がオーストラリア人の扇情的なバカ話をののしっている。(Japan rails at Australian’s tabloid trash)
 The Sydney Morning Herald by Justin Norrie
 
 一人のオーストラリア人ジャーナリスト、ライアン・コネルが幸せに“夢の仕事”を日本でしていると宣言したのは、そう昔のことではない。
 先週、ひどく立腹した日本の愛国者たちから警察の保護を受けて以来、毎日デイリーニュースの主任編集者はより慎重になった。
 ここ一月、この39歳は日本でもっともののしられた人物になった、日本では何千もの張り紙がチャットサイトに溢れ、故意に世界の日本のイメージに泥を塗ったと彼らが思っている“低級なオーストラリア人ジャーナリスト”を非難している。
 コネルの不幸は五月に今では悪名だかいワイワイコラムのひとつ、日本の六本木地区で常連客たちが集まって動物を食べる前にその動物とセックスするという日本の雑誌に載っていた記事に始まった。その一編がMozuと呼ばれるブロガーの注意を引き、彼の怒りの投稿は大規模で日本の保守現象を率いることで有名な気難しいウェブフォーラム2ちゃんねる(a massive,fractious web forum popular with Japan’s hot-headed conservative element)にすぐに拾い上げられた。
 かんしゃくの引き金は引かれ、コネルと彼の家族への同調された攻撃で最高潮に達した。毎日新聞とそのスポンサーの幾らかは広告を引き上げ、それは二千万円以上と推定されている。
 世界で四番目の発行部数の日本語新聞である毎日新聞は目立つ1277語の説明と謝罪を発した。それはそのコラムを終了し、幾人かのスタッフを懲戒しコネルを三ヶ月の懲戒休職(disciplinary leave)と述べた。
 今週連絡をした時、コネルは「この件のついてのいかなる様相」についてもコメントできないと言った。しかしヘラルドは彼がいくつかの殺害脅迫を受けていることと、この件が下火になるまで東京郊外の彼の自宅に居ることとの警察の厳しい指示下にあることを分かっている(understand)。
 1988年に毎日新聞へ奉職し始めて以来、コネルは日本のみだらさに満ちた週刊誌を漁り全くショッキングでしばしば本当らしからぬ大部分は情報確認の取れていない話を英語圏へもたらした。
 多くの以前のマイマイの連載は、学校生活を犠牲にして女の子を追い掛け回すのをやめさせるために母親が息子を楽しませることについての話、同乗者を人目を忍んで虐待する最適の手法についての内情をやり取りする毎月の会合を開いている痴漢について、生きているようなマネキンを乳母のように扱う感情的に発育の妨げられたサラリーマンの話など、を世界の風俗話(world folklore)に入れていた。
 “キャンパス内情:共同編集者は性交の特別カリキュラムを行う流行を集めている。(Co-eds Collect Currency Conducting Extra-curricular Coitus)”でコネルの最近のコラムのひとつは始まっている、それら全ては日本語から訳される前に、創造の逸脱と狂った頭韻(brain-melting alliteration)をもって、人種差別主義者のイギリス人の扇情的な話へとされた。
 それらの西洋の読者の人気が特に日本のブロガーをひどく怒らせた。多くは彼らの国の評判が世界中で「堕落させられた」と感じた。「本当のことを知らない外国人たちはこられの話を本当だと信じてしまうだろう」とある者は書いている。別の人は「ライアン・コネルは退廃したスカトロジスト、典型的なオーストラリア人だ」とののしった。そして別の人は「どうして誰かオーストラリアに水素爆弾を落とさないんだ?」と不思議がった。
 昨年のヘラルド紙のインタヴューでコネルは彼の転写したものは、日本人が全面的に厳しい社会的規範によって抑圧されていたから、かれらは奇怪なフェティッシュによって絶望的に面目を失わされる、という怠けた理解に幾分寄与するかもしれないと認めていた(In an interview with Herald late last year Connell admitted his transcriptions might have contributed in part to a lazy notion that if Japanese are not totally inhibited by their strict social codes,they are hopelessly debased by their bizzare fetishes.)。
 「私たちがいつもこれらのステレオタイプに訴えることを私は憂慮している」と彼は言った。「踏みにじられたサラリーマン、性的にだらしのない女学生、狂った主婦、退廃した上司など。そして、書くのために正確さに疑問を感じる話をとり上げる時もあった。しかし全般的に私は日本人が自身について書いていることを英語圏に提供している」
 コネルと彼の共編者同様に週刊を弁護するたゆまないメディア批評家で人権活動家Debito Arudouはワイワイが日本人の態度や編集指針へ必須の案内であると述べた。「あまりに多くの日本人は彼らが、日本語はある秘密の暗号かであるかのうように、日本語で彼らが好きなことを何でも言ってよいと信じている(国内の聴衆に対しての声明は公的な失言へのとてもよくある謝罪だ)」と彼は述べた。
[PR]
by sleepless_night | 2008-07-20 16:59 | メディア

二人の関係と何かが似ているかもね


(1)原則論
 ①
 不特定の多数人が視聴できる状態にすることを意図して、ある事象を撮影する行為をジャーナリストが行った場合と素人が行った場合、違いがあるのか。
また違いがあるとして、それは行為の正当化にいかに関係するか。

 近年の事件・事故の報道において監視カメラの映像と並んで、現場に居合わせた素人が撮影した映像・画像の使用は拡大している。
 先日の秋葉原での殺傷事件では、特に場所の関係もあり、その量の豊富さが目に付いた。
 そして、そのことは上記問題を私たちに検討する必要性を喚起し、随所でさまざまな意見が表明された。
 私見で、意見の典型として以下の二つをあげる。
 ひとつは、ジャーナリストであろうと素人であろうと行為に基本的な違いはなく、正当化も行為主体によって区別されるものではない。両者にあった境界は技術発達によって融解しつつあることを示した、とする意見。
 もうひとつは、行為の外形は類似していたとしても、ジャーナリストの行為と素人の行為では質などによって存在する次元が異なり、正当化も異なる、とする意見。
 

d0060731_836244.gif


 上図で示したように、ジャーナリストと素人で、使命感や意欲などの人格的(主観的)要素は一概に異なるとは言えない。
 したがって、それを根拠にジャーナリストと素人の行為を区別することはできない。
 両者の違いが明確なのは、その役割(とそれを果たすのに必要とされるもの)と位置だと考えられる。
 素人は、ジャーナリストに必要な知識を教育されておらず、実際の現場などで適用することで知識を実用的に獲得することもなく、収入もそこから得ているわけではないが故に、素人である。
 そして、位置については当事者(利害関係者)であることからまったくの無関係まで、不明確であり、表明や保証がされていない。
 したがって、素人がジャーナリストと外形的に類似した行為を行っても、質や意味が異なる。


 では、素人はジャーナリストと外形的に類似した行為を行ってはいけないのか、正当化はなされないのか。
 思うに、ジャーナリストの行為が正当化されるのは、民主主義社会において国民が意見を形成し、意志を決することに必要な基礎となる情報の提供、国家権力の監視に不可欠な存在であるからである。
 ゆえに、上述したような役割と位置が要請されている。
 だが、ジャーナリストも人間であり、過去の歴史を省みても幾多の間違い、暴走を行い、国民を誤った方向へと扇動してきた実績がある。
 そこで近年では、「第四の権力」と言われるマス・メディア、ジャーナリストの行為を検証・批判する必要が論じられている。
 つまり、権力の監視や情報提供を行うジャーナリストの存在は民主主義の維持に必要不可欠であるがゆえに正当化されているという点から、ジャーナリストの行為にも民主的な過程が必要とされるということである。
 これは、ジャーナリストに対する民主的な反応であった言論市場による選別やメディア・アカウンタビリティ(読者参加の委員会や紙面の読者への一部提供を通じた応答)をさすものではない。
そこからジャーナリストの行為に必要とされてきた機器の発達と一般化によって、ジャーナリストの行為結果(記事など)だけを材料としてきた従来の受動的ともいえる検証・批判から、ジャーナリスト以外の素人(つまり情報の受け手だった人々)によって提供される材料による積極的な検証・批判が要請され、さらには情報を立体的に発展させることまで欲求されるようになったことを意味する。
 以上から、素人であっても、ジャーナリストと外形的に類似した行為を行うことは認められ、ジャーナリスト同様の根拠からに正当化されうると考える。
 ただし、役割や位置の違いを考えれば、ジャーナリストの活動を一次的とした場合に、素人の行為は一次の存在を前提とする二次的なものとされる。


 ジャーナリスト、素人、両者ともに認められるとされる行為の根拠は民主主義にあると述べた。
 そこから、両者ともに行為の制限、正当化される限度が導かれる。
 近代国家と呼ばれるに必要とされる民主主義は単純に構成員の多数の意見をもって全体の意見とみなすとする多数者支配型の民主主義ではなく、少数者の尊重、人権の保障を前提とする自由主義的民主主義である。
 つまり、民主主義の名の下に大衆の意思・欲望を掲げて個人・少数者の意志や権利を踏みにじることを許容するものではない。
 報道の自由は憲法の人権規定の中でも最上位の保障を要求されるが、外形的な権利行使である以上、内在的な制約を持ち、対立する人権との間で制約を受けることは避けられない。
 松本サリン事件で警察発表とリークによって報道を組み立てて河野義行さんの冤罪にマス・メディアが加担した事例などから提起されたマス・メディアの問題は、ジャーナリストの行為・報道の権利が報道される側の権利を許容限度を超えて侵害している事例が少なからず存在していること、本来なら権力者に対して向かうべき報道の自由が少数者・弱者・個人の圧殺に用いられかねない現状を示した。
 だが、ジャーナリストの行為、報道の自由に課せられるべき制限基準は必要最小限であるべきことはゆるがせることは民主主義の観点から許されるべきではない。
 そこで、問題の緩和・解決として考えられるのが、上述してきたような素人による積極的な検証・批判という二次的なジャーナリズムの過程である。
 つまり、ジャーナリストの行為に対する制限基準は従来と変わらないが、素人による積極的な検証・批判という新たな過程が加えられることで、制限基準の変更することなくジャーナリストの行為に再考を促すこと、対抗する言論によって訂正されることを可能とする。
 そこから、素人の行為についての制限、正当化の限度が導かれる。
 素人はジャーナリスト同様に被取材者などの人権と報道の自由との対立から生じる制限に服するとともに、二次的な役割からジャーナリストの被取材者の人権に対しては一層の制限を課されるべきである。
 したがって、ジャーナリストが現場にいない場合には素人は一次的な行為者としてジャーナリストに外形的に類似する行為を行うことができるが、ジャーナリストが現場に存在する場合には、その行為を参照して、ジャーナリストに対する検証・批判の要素が含まれる場合やジャーナリストの行為に欠けた・不十分・偏った要素がある場合などに限りジャーナリストに類似する行為を許容されると考える。


 結論的に述べれば、私見は、ジャーナリスト・素人の違いを認めた上で、ジャーナリストの存在根拠から素人にジャーナリストに対するジャーナリスト類似の行為を認めるものだといえる。
 これは、代議士による議会政治などの間接民主主義に対して、代議士以外の素人がデモなどの行為を通じて直接民主的な意思を表明することで、間接民主の弊害を是正することが憲法で想定されていることと構造としては同じである。

(2)現実

 原則論を述べれば(1)のとおりであるが、現実は厳しい。
 (1)②の図で示したように、ジャーナリストと素人の違いが明確に現れるのは人格ではなく、役割や位置である。
 素人であろうと使命感や興味のあり方がジャーナリストと違うとは言えないし、主観的な違いが行為の正当性に直接結びつくものでもない。
 違いを生むのはあくまでも、役割に規定される教育や知識や実践経験や収入源泉であり、役割と結びつく当人の立ち位置にある。
 

 そこで、問題が生じる。
 果たして、現在、私たちの現実で「ジャーナリスト」を称する人々やそれの属する組織は、ジャーナリストと素人を分かつはずの役割・位置の要件を満たしているのだろうか。
 まず、役割に必要とされる教育に関して言えば、日本のマス・メディアに登場する多くのジャーナリストと称する・される人々の(主流とされる)多くは社内教育の形でしか専門教育を受けておらず、それを基に社員としての経験を積み収入を得ている。
 こららからジャーナリストの役割の専門性に疑問符が付くことに加えて、最も重要なジャーナリストの位置の問題、つまり独立性(公平・中立)に極めて厳しい疑問を持たざるを得ない。
 役割に必要とされる要件充足に疑問がある(専門性が弱い)ことをひとつの原因として、その独立性が強く疑われる。
 原則として一つのマス・メディア企業の社員であり続けるということに加えて、記者クラブという他を排除して取材対象との癒着(を防ぐ仕組みのない)の危険性が大きい組織に属している者が、独立性をどうやって担保するのか疑問であるし、果たして独立しているのかはもっと疑問である。
 さらに、従来から疑問視されてきた政府の委員などへの就任に加えて、近年「ジャーナリスト」を称する人々が一民間企業のCMに出演するようにまでなっていることを考えると、ジャーナリストの独立性を取り巻く現状の惨憺たる部分が露になっていると言える。
 また、報道番組において、なぜか男性アイドルや女性タレントが外形的にジャーナリストに類似する行為を行うと同時に一緒にCMに出演し続けるという自体、それが番組として成立している(視聴者がボイコットしていない)現状を考えると、もぉー分からにゃいっ。
 

 原則論で示したように、素人の行為もジャーナリストの行為にとって必要とされるものである。
 それは、秋葉原の事件などで素人の撮影した画像・映像が多量に用いられたことによっても裏書された。
 これ自体、素人の提供する材料の利用自体はジャーナリストの敗北ではない。
 役割に必要とされる知識・経験を身につけて構造的に(潜在的にでも)独立性を有するジャーナリストが現場にいることは本質的な重要性をもつことはこれまでも・これからも変わることはない。
 素人が現場にいることと質・意味が異なる。
 だが、これまでも・これからもジャーナリストがいかなる現場にいられるということはなかったし、ない。
 だから素人であろうと、ジャーナリストと外形的に類似する行為、経験を書きとめたり・話を集めたり・画像映像をおさめたり、といった行為は否定されるものでもないし、社会にとって必要な行為でもある。
  ただ、役割と位置によって、素人はジャーナリズムにおいてあくまでも二次的にしかなれないということである。
  デモが起きたから議員が必要ではない、と言えないのと同様に、ジャーナリストも素人の類似行為も民主主義にとって存在が想定されている必要なことである。
 ジャーナリストにはこれから一層、素人の得た材料がゴミとならないように、もしくはゴミの中から玉を見つけ出す能力や、ゴミに見える材料を組み合わせ独自の光を当てることで新しい事実を浮かび上がらせる力量が求められるといえる。
d0060731_7251746.jpg

 

 しかし、鳥越俊太郎。
 そこまでいくと、ジャーナリストはいるのか?という話が出てくる。
 当事者であってはいけない、当事者であることを構造的に排除できるように自らの位置を考えて行動しなければならないジャーナリストが、自分の病気をネタにして一企業のCMに出演し、さらにその企業が企業としての責任をも果たさずに、まさに自分と同じ苦しみにある人々にさらなる理不尽な苦しみを与えたことにたいして反省のない人間が「大学でジャーナリズムを教えます」と言えている現状。本人も談合に関った水道メーター製造販売企業ニッコクの経営者であり同時に多数のCMに出演し続け(しかもその企業が景品表示法違反で排除命令を受け)るみのもんはたはTBSのニュース番組の総合司会をつとめる番組が100万人以上に視聴されている現状は、ジャーナリズムを携帯のカメラで血を流す人を取り囲んで個人的記念に撮影する意だと認めるに等しい。
 大手不動産賃貸仲介企業エイブルのCMに一緒に出演し、一緒に日本テレビのニュース番組に出演している桜井翔と小林麻央はどんな顔をしてエイブルに対する公取からの排除命令を伝えたのか、さらに競合する企業や業界のニュースをどんな立ち位置から伝えているつもりなのか(両者は他にも企業CMに出演しているし、芸能事務所に所属して歌手・俳優などの活動を継続していることは、いったいどういう意図があるのか)。
 対して、本人がよいと思っている製品・企業の紹介、本当に良質な製品などのCMならばCM出演は問題ないという感想を持つ人もあるが、問題は製品や企業の良し悪しとは直接関係ないことが全く理解されていない。
 ジャーナリストがジャーナリストであるためには、役割を果たす能力だけでは十分ではなく、その能力が発揮される位置が独立していなければならない。独立性が担保されない言論がジャーナリストを称する人間から発せられたとしても、情報の受け手は、それが情報の受け手に対する責任を第一とするジャーナリストとしての発信なのか、それ以外の人物・企業などへの責任を第一とする義務のある位置(立場)からのものなのか不明となり、最悪、立場が対立する場合に情報の受け手がだまされることになる。
 鳥越俊太郎はアメリカンファミリー生命保険会社から、桜井翔と小林麻央は株式会社エイブルから、相当の金銭を受領することに引き換えて自らへ信頼(知名度など)を同社の利益に利用することを認めた以上、彼らは契約によって、情報の受け手の利益より同社の利益を優先しなければならない。これは、本人がどう考えようと、多く存在する同業他社の中からアメリカンファミリー生命保険会社・株式会社エイブルの宣伝を引き受けたことから不可避に導かれ、主観の如何で否定されるものではない。
 同様にみのもんたは経営者として株主へ第一に責任を果たさなければならないし、タマホーム株式会社から相当の金額を受領して自らの信頼を同社利益に利用することを認めた以上は、情報の受け手への責任に同社への利益を優先させることになる。
 みのもんたや桜井・小林はジャーナリストを名乗っていない(「キャスター」を称している)が、ニュース番組に出演し発言を行っている。何を称しようが、民主主義国家においてきわめて優越的地位を保証されている言論企業の根拠となるニュース番組で主要な役割を果たしている以上、それは言い訳にならず、ジャーナリストとして求められる役割と位置の要件を満たすことの要求を拒絶することは許されない。
d0060731_7243579.jpg

『ハゲワシと少女』で言えば、彼らは撮影者ではなく、中のハゲワシになって少女が死ぬのを待っているようなものだ。


 これらの目立つ場所でのジャーナリストの自壊現象。それらを成立させている視聴者(素人)の現状を考えると、原則論は遥か彼方の話ということかもしれない。
 ライフ・ログのために被害現場を撮影したり、メディア・スクラムの類似現象を引き起こす素人前に、一次的なジャーナリズムが機能していないのならば、素人とジャーナリストの行為は同じかどうかを問うにしても、「素人の行為がジャーナリズムと言えるか?」ではなく「素人以外が存在したのか?」と問わなければならなくなる。
 素人による二次的なジャーナリズムではなく、ジャーナリズムの存在が問題となる。
 

 鳥越俊太郎やみのもんたや桜井翔や小林麻央の十分の一(にも満たないかもしれない)の報酬でジャーナリストとしての役割や位置に忠実であろうと苦闘している人々はいる(みのもんたの十分の一だとかなり余裕がある暮らしができそうだが)。
 それは、報酬が十分の一であるから偉いのではない。
 ジャーナリストであろうとかしゆかであろうと、活動に必要な金銭は必要だし、納得の行く活動を維持するためにも可能な限りの報酬を要求することに何ら臆することはない。
 日のあたる場所、必要な情報がしっかりとした場所に置かれ、それを伝えたジャーナリストが相当な報酬を得られることは、現状から想像することは容易ではない。
 しかし、Perfumeも流離っていた時代があったのだ。
 一次的なジャーナリズムが果たされているとは言い難い状況で、二次的なジャーナリズムを展開しようとすることはドーナツの穴に中身を求めるようなものだが、そんなドーナツなジャーナリストと素人の関係も温めなおして食べごろになる時には、鳥越俊太郎の事も新しい時代のジャーナリズムに会うための過去ならば、全部幸せな思い出に見えてくるから、ホント不思議。
d0060731_942830.jpg




 
[PR]
by sleepless_night | 2008-07-06 07:26 | メディア

総理・ばんざい!

 “あなたが賃貸マンションに住んでいて部屋で自殺したとしよう。その場合、当たり前だがあなたが死んでも部屋は残る。家主は次の入居者に部屋を貸さなくてはならない。だが、ここで問題がおきる。誰も自殺のあった部屋などかりたくないからだ。”
                  『自殺のコスト』雨宮処凛著(大田出版)
 
 “永田町はとにかく縁起をかつぐ世界だ。 たとえば、議員会館の部屋番号である。国会議員というのは、選挙後ごとにだいたい三分の一が入れ替わる。つまり議員会館の部屋の主もその分だけ交代するわけであるが、新たに当選してきた議員は、その部屋割りだけで一喜一憂する。”
                 『代議士秘書』飯島勲著(講談社文庫)

 “合理的な自殺などといった行為はない。しかし、おそらく急性の精神病状態にある人の自殺以外は、すべての自殺は合目的的な行為である。”
『シュナイドマンの自殺学』エドウィン・S・シュナイドマン著 高橋祥友訳(金剛出版)

                        *

(1)報道による事実
 5月28日の松岡利勝大臣の自殺について。
 
・朝日新聞28日14時21分
http://72.14.235.104/search?q=cache:Oh1xU_lDAxIJ:www.asahi.com/national/update/0528/TKY200705280175.html+%E6%9D%BE%E5%B2%A1%E5%88%A9%E5%8B%9D%E3%80%80%E8%87%AA%E6%AE%BA&hl=ja&ct=clnk&cd=11&gl=jp →“28日正午ごろ”に“秘書が、警護に当たっていた警察官と一緒に室内に入ったところ”“布状のひもで”首吊り状態の松岡大臣を発見し119番通報、慶応大に運搬され“午後2時、死亡が確認”。

・読売新聞28日14時31分    
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070528it06.htm  
 →“28日正午すぎ”に“布状のひも”で首吊り状態の大臣を“秘書が見つけ”て“待機していた警視庁の警護官(SP)に連絡”。“同日午後0時29分に119番通報を受けた救急隊が、現場で蘇生(そせい)措置を行って慶応大病院(新宿区)に運搬”、“午後2時、死亡が確認”
 
・時事通信28日14時31分
http://72.14.235.104/search?q=cache:J6c5zcu7Yy8J:www.jiji.co.jp/jc/c%3Fg%3Dpol_date1%26k%3D2007052800358+%E6%9D%BE%E5%B2%A1%E8%BE%B2%E6%B0%B4%E7%9B%B8%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B%E3%81%AB%E9%81%BA%E6%9B%B8%E3%80%80&hl=ja&ct=clnk&cd=4&gl=jp →“調べによると、秘書が同日正午すぎ、警護員とともに、部屋に入ったところ、リビングのドアのちょうつがいに、布でできたい布散歩用のひものようなものを掛け、立った状態で首を吊っていた。”

 ・毎日新聞28日16時59分
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000015-maip-soci →“28日午後0時18分ごろ”“リビングのドアのちょうつがいに犬の散歩用のひもをひっかけて首をつって”いた大臣を“秘書官らが見つけ、警察に通報”。“午後1時に東京・慶応大病院に運んだが同2時死亡が確認”。

 ・東京新聞夕刊
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007052802019742.html
 →“二十八日午後零時半ごろ”“松岡農相が自殺を図ったと、一一九番があった。”
 “警視庁赤坂署によると、同部屋のリビングのドア上部についたちょうつがい部分に布製のひもをかけ、首をつった状態でいるのを男性秘書と大臣の警護員が見つけた。”

・徳島新聞28日18時10分速報
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=1&m2=1&NB=FLASHNEWS&GI=&G=FLASHNEWS&ns=news_118034597463&v=&vm=1 →“警視庁は検視の結果などから、松岡利勝農相は自殺と断定した。”

 ・毎日新聞28日23時17分
 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070528k0000e040069000c.html →“松岡利勝農相(62)が首をつっているのを秘書らが見つけ119番した。”“パジャマ姿で首をつっていた。同署署員が到着した際にはひもが切られ、松岡農相は床におろされていた。”“同病院によると午後0時42分に救急隊が到着した際には既に心肺停止だった。心臓マッサージをしながら救急車で搬送、同病院救急部で蘇生術を継続したが、午後2時に死亡が確認”。地元で29日通夜、30日密葬。
  
 ・読売新聞29日3時4分
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070529it01.htm →赤坂署によると“農相秘書官が、駐車場に待機していた公設秘書や同庁の警護官(SP)とともに合鍵で室内に入ったところ、パジャマ姿の農相が高さ約2メートルのドアのちょうつがいにひもを引っ掛け、首をつっているのを発見。そばに高さ30センチの脚立があった。赤坂署は、室内の状況などから自殺と判断、司法解剖を行わずに遺体を家族に引き渡した。”

 ・西日本新聞29日11時31分
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/kumamoto/20070529/20070529_007.shtml
 →“警視庁は死因を窒息死と発表”

 ・時事通信29日12時28分
http://72.14.235.104/search?q=cache:uh7h2kEIQw4J:www.jiji.com/jc/c%3Fg%3Dsoc_30%26k%3D2007052900342+%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E5%89%8D%E3%81%AB%E9%A6%96%E3%81%A4%E3%82%8A%E3%81%8B&hl=ja&ct=clnk&cd=1&gl=jp →赤坂署の“調べなどによると、秘書と警護の警察官(SP)が28日午後零時20分ごろ、施錠された部屋に鍵を開けて入り、松岡前農水相がひもで首をつっているのを見つけた。体は死後硬直がほとんど進んでいなかった。”

(2)合目的的な行為
 ①可能性の問題
 
上記報道によると、秘書官とSPが松岡大臣を発見・救急通報から救急到着まで、0時20分から42分までの約20分間あったことになる。

 上記報道で、朝日は“119番通報”とあるが、毎日は28日16時の記事で“警察に通報”としているが23時には“119番した”と変えている。
 また、読売は28日の記事で“秘書が見つけ”て“待機していた警視庁の警護官(SP)に連絡”とあるが、29日には“農相秘書官が、駐車場に待機していた公設秘書や同庁の警護官(SP)とともに合鍵で室内に入った”と変えている。朝日と時事は28日から秘書とSPが一緒に入ったとと伝えている。
 毎日が28日に言う“秘書官らが見つけ、警察に通報した”は(時事や読売が書いているように)SPに連絡したということを指すのか?しかし、それでは29日に赤坂署の発表を引いて“秘書と警視庁の警護官(SP)が室内に入ろうとしたが、玄関が施錠されていた。別の秘書が取りに行った合鍵を使って午後0時20分ごろ室内に入り、首をつっている松岡農相を発見した”という記事とは整合しない。もちろん、これは単純な誤報と考えるのが最も素直。
 しかし上記記事から可能性として、見つけたのが秘書だけなのか秘書とSPがいっしょなのか?と最初に通報したのは秘書とSPのどちらで、それは119なのか110なのか?という疑問はある。

 毎日の28日23時の記事では赤坂署員が到着時にはおろされていたと言う。
 他の記事では触れていない。
 ここでも可能性としてだが、松岡大臣は発見から救急到着までの20分間吊られたままだったのか秘書とSPによって下ろされたのか?という疑問がある。

 だが仮に、松岡大臣を発見してすぐに床に下ろさず、救急隊到着までの20分間吊ったままだったとすると、発見時に生きていても到着時には心停止を起こしていたことになる。
 そしてこの場合、発見時に救命行為をとらなかったSPは職務上の失態のみならず間違いなく保護責任者遺棄致死罪に問われる。 
 だが、現時点でそのようなことは発表・報道されていない。
 したがって、発見して即時下ろして救命行為をおこなったと推測するのが妥当。
 しかし、下ろさなかったのかもしれない。
 
 ②11分の意味 
 まず、首吊り状態の松岡大臣を発見した秘書官やSPが見たのはうっ血し開いた口から涎を垂らした顔面でだったと考えられる。
 なぜなら、死因が窒息死と発表されているので、松岡大臣は非定的縊死だったと理解されるから。
 つまり、松岡大臣は完全に足が地面から離れることで全体重を掛けて血管閉塞・神経圧迫で心停止により即死する定型的縊死ではなく、不完全に体重が掛かかったことで血管閉塞・神経圧迫も不完全で死因が気道閉塞による窒息死となる非定型的縊死だった。非定型の場合、血管閉塞が不完全であるため、頭部に血液が流れる隙があり、うっ血が生じる。
 これは、病院に運ばれていた松岡大臣の顔に布が掛けられていたこととも関係するかもしれない。心肺停止の患者であれば、挿管して呼吸をバッグしなければならないのに、それを妨げる布を顔面に掛けなければならなかったのは、プライヴァシーの問題と同時に、それ以上にうっ血し尋常ではない顔面を隠す必要があったからだと考えられる。

 松岡大臣を見た秘書官とSPはすぐに駆けつけただろうが、ここでSPは脈をとって停止していることを確認し、秘書官に告げる。見つけたのが秘書官だけならば、SPほど的確に脈拍の確認はできず、下ろそうとして松岡大臣に触れたか、そうせずに異常事態をSPに連絡したか。 
 いずれにせよ、救急に即時に連絡していなかったことは全ての記事が同様に示している(全ての記事が誤報なのかもしれないが、それはここでは措く)。
 11分間。
 秘書官(たち)は首を吊っている松岡大臣を前にしたのに、救急連絡まで11分の時間をすごしている。
 
 SPは直ぐに警察・救急のいずれかに連絡しようとしたと考えられる。
 だが、11分そうしなかったことを示す。しかし、その状況でSPが自発的になにもしないというのは考えられない。
 すると考えられるのは、SPが秘書官に連絡を制止されたか警察に連絡したが先で止められたかということになる。 
 死亡していると聞いた秘書官は警察でも救急でもなく、まず他の松岡大臣の秘書や総理大臣秘書官(若しくは私設秘書)に連絡して対応を相談することが考えられる。そして結果として、死んでいるのだから救急到着まで動かさないことを決める。
 また、死亡しているのでSPが救急ではなく警察に連絡した場合でも、その先から現場保存のために到着まで動かさないよう指示され(警備課から総理大臣秘書官などに連絡し、その後に救急が手配された)たと考えられる。
 どちらにせよ、その場で死亡されると解剖の可能性が現れるので、病院で死んでもらうったほうが好都合だと判断されたと考えられる。
 
 ③20分の意味
 20分放置しておいて蘇生処置をすること、その20分間の放置だけでも死亡することは分かるはずなのに救急車を呼んで蘇生処置させることは意図として矛盾する。
 しかし、松岡大臣の自殺を可能な限りスムーズに速やかに片付ける(風化させる)という政治的目標のためには病院まで大臣には生きていてもらわなければらない(その場で死亡されてはならない)こと。そこから後に、解剖など絶対にされてはならない(解剖され話題が引きずられるのを絶対に回避する)こと。そのために現場を発見者たちがいじって疑いを書面上に残すことはできないことが導かれる。そして、20分後に到着した救急隊に松岡大臣を下ろしてもらって蘇生処置までしてもらわなければならない。
 これは現場にいたSPにとっても、そしてその後ろにある警察組織の政治的立場からしてもポイントには絶対にならない事件で出来ることはミスを犯さないことと言う保身の理屈に適う。 
 だから、20分間下ろさなかったことはありうる。 
 
(3)そこは首だよ
 松岡大臣の自殺を「サムライらしい行為だ」といった趣旨の発言が見られた。 
 武士がなぜ腹を切るのかについては、新渡戸稲造は「腹」が魂や心のありかとして認知されてきたからと考えを示したが、他にも切っても辛い上になかなか死ねない腹を選ぶことで自らの苦痛への耐性を誇示し・勇気を示すから、腸などの臓器が現れる派手さがあるからと言った説もある。
 少なくとも“首縊や投身自殺など女子供のすることで武士にとっては最も恥じとすべき方法であった。”(『切腹』山本博文著 光文社新書)
 だから、サムライというのは無理があるだろう。
 
(4)絞められた首が閉ざした声、紐の先を握った安倍
 武士は腹を切ることで自分の魂や本心を見せる(とする解釈がある)が、松岡大臣は首を吊って自分の本心や真相を体の中に閉じ込めた。松岡大臣の首吊りは形態の意味として切腹とは真逆の行為だった。
  布施豊正(NYU教授・比較自殺学)さんはコミュニケーションの視点から自殺をこう述べている。
 “「死をもってお詫びする」という自殺が日本人には意外に多いが、言葉によるコミュニケーションが下手で、そいういう訓練をほとんど受けていない日本人は往々にして、「死」という極端な形でコミュニケーションをしようとする。言葉によるお詫びのできない人間は、自殺によって「死んでお詫び」をしようとする。”(『自殺と文化』新潮社)
 “今は黙っていたほうがいいと国体からの、上からの指示なのです。”との鈴木宗男議員の松岡大臣との会話の紹介からもわかるように、まさに松岡大臣は“言葉によるお詫びのできない人間”だった。
 そして、最期の言葉である八通の遺書のうちで公表されている国民向けのもは、具体的に全く何も言っていないに等しい。
 シュナイドマンは遺書について多くが“驚くほど、平凡で、陳腐であり、時にはひどく単調で、退屈ですらある”と述べ、それは“自殺するためには、意味ある遺書を書くことができない。逆に、意味のある遺書を書けるくらいなら、その人は自殺しなかっただろう。”という自殺の心理的側面(激しい疲労・苦痛・切迫感による視野狭窄)によるとしている。ただし、“詳しい生活史という状況に照らし合わせて”遺書を検討すれば“遺書に書かれている特別な意味を明らかにする多くのキーワードを提供してくれるだろう”と、遺書の重要性も指摘する。
 “特別な意味”、松岡大臣の場合は明らかに複数の国政上の問題に関係すると思われる背景を安倍首相は松岡大臣の“名誉のため”とのたまって潰して見せた。

(5)虎は死して皮を残し 
 疑惑段階での自殺は長い目で見れば、汚名としてそれほど効果を持たないと思う。
 それより長く明確に影響を残すのは、新しい議員宿舎の部屋。
 通常の自殺物件なら、契約時の告知事項となり、賃料をいくらか下げるか保証人などに賠償を請求するかされる。
 ただでさえ格安と批判される議員宿舎をこれ以上下げるのか。
 さらに、下げたとしても縁起を担ぐことに執着する議員に入居する人はいるのか。
 当選六回、大臣経験者という経歴を重視するのか、疑惑と自殺を重視するのか。
 とにかく、松岡大臣は死して部屋を残し、それは名よりも実質的な影響を長く残すだろう。
 
 

おまけ)
・反戦な家づくり http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-374.html
 では、“首つりでは、通常窒息死はしない”とあるが、上述したように非定型的縊死の死因は窒息。
 また、山崎進一元理事の自殺で、パジャマ姿で素足で靴を履き、靴をそろえて投身と言う点に疑問を呈している。しかし、上述したように自殺時には自責・苦痛・切迫などによって思考が硬直し認知が狭窄されることが多いので、ラフな格好なのに靴そろえるという律儀さを見せる不統合はおかしくないと考える。
 ⇒http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-377.html
 の“一見精緻な論理で、松岡他殺説を否定するTB”が当ブログのことなのかわからないが、追記。
 当エントリの(2)②で定型的と非定型的縊死の記述が不親切なものだったためと思われるが、“かのTBブログが正しければ、足が着いていなければ、定型縊死=心停止による即死のはずだ。ざっと検索してみても、そのような見解の法医学解説が多い。”というのは誤解。
 当エントリでは、定型的の場合に“足が離れる”と述べたが非定型では“不完全に体重が掛かった”としか書いていない。
 定型的縊死は
 ・足などが地面・壁面から完全に離れ、索条が全体重を支えていること
 ・索条が前頸部にかかり、左右対称に前下方から後上方に向かい、懸垂点が項部正中にあること
 の二つの要件がある場合で、それ以外が非定型的。
 (岩手医科大医学部法医学教室 
 http://forensic.iwate-med.ac.jp/lectures/newest/node11.html#SECTION001130000000000000000
 したがって、体が地面や壁に接地していたり、紐が左右対称ではなかったり、しっかりと斜め上に角度がついてなかった場合には非定型的となる。
 また、http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/32850847.htmlでも、非定型的だと推測した上で、解剖を省いたことを批判している。 

 当エントリは、(1)を置いたことからも分かるように、自殺か他殺かという前段階での問題は意図的に触れず、自殺であったとしても疑問点が多いことを考えると意図したもの。
 それは、現在事実として公式に発表されていること・私たちの最も手前に置かれていることからはじめなければ、他殺といった現在公式に発表されていない見解を発しても説得力に欠け、単なる陰謀論として流されてしまうと考えるから。
 他殺を積極的に否定するものではなく、自殺だと考えても通るが、だとしても疑問があると言うのがスタンス。

 上述したように、松岡大臣が自殺であって、見つけた秘書官なりSPなりが「死んでいる」と判断したなら救急を要請することはおかしいし、司法解剖でなくとも行政解剖がされなければならない。「生きているかも・助かるかも」と判断したならば、20分間放置したSPや秘書官は保護責任者遺棄致死罪に問われなければならない。後者は、時事通信が“死後硬直はほとんど進んでなかった”とする記事から考えても真剣に究明されなければならないと考える。 
 
・カルトvsオタクのハルマゲドン http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20070601
 でも同様の指摘を引用しているが、上同。
 また、飯島秘書官がいたのは、(2)②のようなことを考えればおかしくない。
[PR]
by sleepless_night | 2007-06-06 23:51 | メディア

日本人が世界で一番受けたい授業が凄い事にされている件について。



 本日24日19:57から日本テレビで放送する番組「世界一受けたい授業」
 http://tv.yahoo.co.jp/bin/search?id=71170023&area=tokyo
 
 “世界一受けたい授業!!◇歯学博士の村津和正氏は、歯の大切さを伝える。ちょっとした体調不良から命にかかわる重病まで、さまざまな病気が歯の異常とかかわっているという。”


 第12回トンデモ本大賞受賞作『歯は中枢だった』の著者 村津和正さんが授業をして下さるそうです。
 http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2003hahachusu.htm


 ここまで行くと、やらせとかは必要なさそうです。
 個人的には、第二回大賞受賞作『植物は警告する』の三上晃さんの授業の方が楽しいと思いますね。

 


 
[PR]
by sleepless_night | 2007-02-24 08:45 | メディア

安倍は右、メディアは盾、柳沢はそのネタ。



d0060731_7585483.jpg

                         公平中立だと確認されまちた。
                         ホームページから文書も消したし、落着だぽ


 
d0060731_7594698.jpg

 バカ、“安倍氏が持論を展開したあと、NHKがもとめられている公平中立の立場で報道すべきではないかと指摘した。”と事実認定されてるじゃないか。
 なんか、ごまかさなきゃ・・・


 
d0060731_821332.jpg

                        え~、総理は右側にではなく、真ん中に・・・

  
d0060731_842940.jpg

                                  ハイ、ハイ

   
d0060731_851260.jpg

                                 お!どうした?

 
d0060731_862444.jpg

                                 三本ではなくて

 
d0060731_87022.jpg

                                 一本しかないんだ。

 
d0060731_882438.jpg

                                 だったら右に! 

 
d0060731_892769.jpg

                            そして、シャツもパンツにイン!

 
d0060731_8104854.jpg
 
                                  サイコー!!
 
d0060731_8113212.jpg

                                   君も? 

 
d0060731_8122856.jpg

                                   右で仲良し

 
d0060731_8131197.jpg

                            安倍はトランクスだからダメなんだよ

 
d0060731_8135518.jpg

                         ボクサーパンツなら、こんなに大きくなっても

 
d0060731_81425100.jpg

                                  フィット!!

 
d0060731_815558.jpg

                               私、はかない主義

 
d0060731_81685.jpg

                              ボク?ボクはブリーフ

 
d0060731_8163275.jpg

                                 自転車のるから

 
d0060731_8171310.jpg

                             そういった、プライベートなことは・・・

 
d0060731_818486.jpg

                          え~、安倍総理のご厚意に応えるべく・・・

   
d0060731_818532.jpg

                          ごまかすのが下手だな、やーい

 
d0060731_8215351.jpg

                           そういうことだったの

d0060731_22423364.jpg

                             え・・・、気づいてなかった・・・・

 
d0060731_22433594.jpg

                                ガックリ

 
d0060731_8224415.jpg

                               おつかれさまでした                



“仕立て屋の主人はこんなことまでたずねたのだ。「どうお召しになりますか、リヴィングストン博士?」
 バーニーはすっかりめんくらってしまった。だって、服を着るのにああだのこうだのということがるんだろうか?彼は何も答えなかった。
 「失礼ですが」と、仕立て屋は丁重にたずねた。「お返事が聞こえなかったのですが?」
 「実は質問の意味がわからないのです」
 仕立て屋は苦心して質問の仕方を変えた。「お客様のその部分はどちらに-」
 「お客様のその部分でございます」仕立て屋はバーニーの股間をできるだけ慎ましやかに指しながら答えた。「大部分のお客様はふつう左側になさいます」”
             『ドクターズ』エリック・シーガル著 広瀬順弘訳(角川文庫)

 日本では最初に洋装を取り入れた軍隊が、被服手入保存法で左側に入れると定めた。
 既製服の左側は右側よりも生地に余裕を持たせてある。
参考:http://www.tailor-kasukabe.com/structure/21_pants.html



                      *
1月29日の高裁判決について、新聞メディアは期待権の問題を中心に報道した。
 この問題の当事者ともいえる朝日新聞だけは、事実認定に関して触れたが、中心は期待権の問題だった。
 http://www.asahi.com/national/update/0129/TKY200701290340.html

 原告の勝訴が報じられたとき、これで朝日の取材テープ問題によって消えた、政治圧力問題が再燃して、安倍政権が大打撃を受ける、少なくとも問題が再燃することは必至だろうと思った。
 しかし、一日だけ新聞が期待権を中心に一面で出して終わった。
 そして、今まで延々と「産む機械発言」を垂れ流し続けている。
 テレビは精神衛生上見ないようにしているが、つけてみるとこればかりという印象。
 ほにゃらら大辞典などの健康番組をみるより、テレビを見ないほうがよほど健康的な生活が送れる。

 “主催者側の意図通りの報道をしようとしているとの心ある関係者からの情報が寄せられたため、事実関係を聴いた。その結果、裁判官役と検事役はいても弁護士証人はいないなど、明確に偏って内容であることが分かり私は、NHKがとりわけ求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した。”
 
 当時の官房副長官が、あの時、自らのHPに掲げた文章。
 この文章を載せるセンスが信じられなかったが、いまはその人が総理大臣だということが信じられない。
 そして、判決の事実認定。
 なのに、「産む機械」の合唱。
 安倍総理は判決について“政治家が介入していないという判決が明確に下された”とのコメントを出して終わり。あとは困った他人の発言で不運ですという風情。
 
 報道の自由は、国民の知る権利に奉仕することをもって正当化されている。
 いま、マス・メディアは何に奉仕しているのだろう。
 期待権がメディアの権利を脅かすと論じるが、自分たちの行い-権力と癒着し、ゴミ情報の過多で重要なことを隠す-こそが、自分たちの存在する根拠を最も腐食させていることに気づかないのか。
 国民は自分たちの知る権利の代行の期待をマス・メディアに託することを止め、それを司法が認めたこの判決の意味を理解しているのだろうか。
 


 
 

 
[PR]
by sleepless_night | 2007-02-04 08:23 | メディア

毎日新聞「ネット君臨」/毎日新聞を世界遺産に

 毎日新聞「ネット君臨」/終電逃したら毎日新聞を巻いて寝ると暖かいよの続き


 最後に、これこそ元旦スクープにふさわしい記事。
 日立製作所の小泉英明さんがIT技術の脳へのアセスメント必要性を訴える文章。
 パソコンのキーボードと筆ペンで文字を書くのが違うというのは、ITとは関係ない(IT以前のタイプライターが原型なのだからIT技術の問題にならない)というご愛嬌は別として、PCの製造をしている日立製作所が、自社の製品が消費者を馬鹿にする可能性があると告白するに等しいことを意見している。
 きっと、良心のいたみに耐えかねたのでしょう。本当にありがとうございます。
 “個人的な見解だが、幼いころからオン・オフだけを続けると脳の働きがかなり変わる懸念がある。脳が基本的な部分を一生懸命構築する時期にパソコンばかりやらせるのはよくない。特に2、3歳までは、増加ではなく本物の花に触れるような実体験がかかせない。”
 柳田邦男さんの言葉遣いとそっくりなのは、どちらが元ネタなのか分からりませんが、もしかしたらシンクロニシティーの解明につながるかもしれないので注目に値します。
 最近の2,3歳児はPCを使っていると言うのは知りませんでした

 と、ツッコむところしかない記事に加えて、9日の朝刊はサービス精神にあふれている。
 5面では「政治に思う」というコーナーで川島隆太(東北大教授)のコメント。

 記者質問“政治家にはどんなふうに脳を鍛えてほしいですか。”
 川島答え“「前頭前野」をもっと鍛えてほしいですね。前頭前野はモラルをつかさるる脳。他者の痛みを感じるのもここです。国民の痛みをしり、モラルに従った行動をする理想の政治家であるために、一番大事な脳なんです。ここをしっかり鍛えていただきたい。”
 記者質問“そのためには毎日の音読や計算が大事なんですか。”
 川島答え“脳を鍛える方法は沢山ありますよ。まず活字を大切にする生活をつづけてほしいですね。テレビやITメディアにおぼれないで、活字に軸足を置くことが、前頭前野を鍛える一番のコツです。”
 記者質問“有権者としての脳の鍛えたかにもアドバイスを。”
 川島答え“やはり前頭前野です。中略。テレビだけを見ていたら、「支配者」と呼ばれる集団に思うように操られてしまいます。後略。”

 タイタニックよりも泣ける記事をありがとうございます。
 官僚の作文を音読しているから議員は情緒豊かだということがよく分かりました。
 ITメディアの主流は活字ではないのかという疑問も、テレビの弊害が大きいというのが答えなのに、ITメディアもまとめて語る無茶も見事に無視されています。
 感動しました。

 9日朝刊はこれだけではない。7面の「新聞時評」では杉田正樹(関東学院大教授・ドイツ近代哲学)さんの論評が掲載されている。
 「ネット君臨」の特集記事を“文明論に及んでいるから”“大変興味深い”と評価。柳田邦男さんのコメントも引いて、“ネットの発達は、人間を未熟化し、社会を脆弱化する面を否定できない。未熟な社会はストレスを生みやすい。未熟とは最低限のルールが守れず、自分のことしか考えないからだ。ネットは未熟に適合し、また、未熟を助長する。そのようなネット社会が、ものや人や情報(言葉)を使い捨てにする社会であるのは当然だ。他人は手段であることすら意識されない。われわれは成熟したモラルを作り出す必要にせまられている。”

 参りました。
 功利主義が強い英米の倫理学に対してのドイツ倫理からの異議という感覚は読み取れるのですが、それ以上の内容はなく、柳田邦男的な呪詛の言い換えで終わっています。
 記事の長さから仕方が無いといえばそれまでですが、毎日新聞は柳田邦男ブームのようです。
 
一部 失われてゆくもの/9)
最先端…電脳村の10年

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070110ddm002040010000c.html
[記事要約]富山県旧山田村は村おこしでネットに着目。大々的に設備投資をし、注目を集めたが、廃れた。

 第一部がこの記事で終了。特集もやめた方がいい。
 ありふれた公共事業の失敗例であって、ネットの問題でもなければ、どこにも「ネット君臨」していない

第一部が終わって)
 “祖父は長い間、孫の一人は自分と同じ大工に、という希望をいだいていた様だ。”
 “リポーターになりたての頃、いったい何を生業の種にしているのか、じっくり説明してくれ、と祖父に言われた。
 「おじいちゃん、ぼくはいろいろな人に話しかけるんだ」と、私は言った。「そして、その人たちがしゃべったことを、紙に書くんだ」しばらくの間、祖父はただじっと私を見つめていた。
 「なあ、ひとつ教えてくれんか」口元をほころばせながら祖父は言った。「それで、金をもらえるのかね」”
  「祖父の思い出…」ロジャー・サイモン著 横山和子訳
       (中公文庫 『ジャーナリストはなぜ疑り深いのか』より)
       
 連載担当は、竹川正記、矢野純一、高橋望、江口一、堀井恵里子、宮崎康宏、桜井平、岩佐淳士、河津啓介、花谷寿人。

 「なあ、ひとつ教えてくれんか。これで金をもらえるのかね」 



毎日新聞を世界遺産に)
 登録基準(ⅴ)に該当することを根拠として、毎日新聞‐社会部「ネット君臨」取材班‐を世界文化遺産に推薦する。

(ⅴ)ある文化(または複数の文化)を特徴付けるような人類の伝統的集落や土地利用の優れた例であること。特に抗しきれない歴史の流れによって存続が危うくなっている場合。
 http://www.unesco.or.jp/contents/isan/decides.html

 2007年1月1日より掲載された「ネット君臨」は、19世紀後期から20世紀にかけて形成され、完成された日本国の特異なメディア体制、情報の流通構造を、その内部の集落構成員による変化への抵抗という形をとることで明確に表した作品である。
 戦後に完成された、新聞・テレビ・ラジオという三つの主なメディアの実質的連結、先進国では異常な情報の独占体制、メディア相互のチェックが構造的に保障されず、結果として政治の非流動性を支えた不当性を、杜撰な取材と感傷的な文章、特集主題を無視した内容設定によって鮮明に読者に印象付けた。
 これを創作した取材班は、日本の旧メディア“文化を特徴付けるような人類の伝統的集落”であると認めれる。

 毎日新聞は約400万という異常な発行部数、押し紙を含めて、による販売収入・広告収入によって維持されているが、若年層の新聞離れ、英語などの外国語習得にる海外のメディア利用によって確実にその経営基盤を脅かされている。
 また、当該特集記事が標的にしたインターネットによる情報流通は“抗しきれない歴史の流れ”であり、毎日新聞の“存続が危うくなっている”ものと認められる。
 特に、毎日新聞自体の将来以上に、特集班の将来は“存続が危うくなっている”と推察され、インターネットの重要性を捨て身で表現した取材班の世界文化遺産登録による保護が要請される

         





 
[PR]
by sleepless_night | 2007-01-10 20:33 | メディア

毎日新聞「ネット君臨」/終電逃したら毎日新聞を巻いて寝ると暖かいよ

 現在、毎日新聞で好評連載中の特集「ネット君臨」。
 
はじまりの合図)
 毎日新聞12月28日/発信箱 ネット取材考 花谷寿人
 “私たちはインターネットに依存するあまり、いつの間にか支配されているのではないか。そんな疑問から毎日新聞の「ネット取材班」は動き出した。 取材を始めたのは2カ月前。20代から30代の記者たちが集まった。彼らの問題意識はこうだ。 ネットの匿名性が進む一方で、個人情報がはんらんし、人権を侵害している。子供たちは携帯で友だちとつながりながら、返信に追われる……。 劇的にもたらされたネットの利便性や効率と引き換えに、大切なものを失いつつあるように見える。取材を進めていくうちに、その思いを強くした。 ところがいきなり、ネット社会の怖さを感じることになる。相手が取材された内容を、直後にブログの日記やネットの掲示板に書き込む。新聞記者のかつての取材は1対1の関係だった。記者は名詞を出すことさえ、ためらうこともある。 それでも生身の人に会って話を聞くのが私たちの仕事だ。そうしなければ、本当のことを伝えられないと思う。”
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/archive/news/2006/12/20061230ddm002070124000c.html
 花谷記者の日本語は高度すぎるので、一般社会に通じる日本語に直訳しておきます。
翻訳版)
 “私たちはインターネットに依存するあまり、いつの間にか情報を支配できなくなっているのではないか。そんな疑問から毎日新聞の「ネット取材班」は動き出した。 取材を始めたのは二ヶ月前。20代から30代のゲーム脳に犯された記者たちが集まった。彼らの問題意識は(そんなものあるわけないが、あったとしたら)こうだ。 ネットの匿名性が進む一方で、私たちの知らない情報がはんらんし、私たちが情報のボトルネックを握って高給をもらう権利を侵害している。子供たちは携帯で友だちとつながりながら、好きなHP を読んでいる。劇的にもたらされたネットの利便性や効率と引き換えに、大切な新聞購読者が失われつつあるように見える。取材を進めていくうちに、その思いを強くした。 ところがいきなり、ネット取材の恐怖を感じることになる。相手が取材された内容を、直後にブログの日記やネットの掲示板に書きこむ。新聞記者のかつての取材相手は1対1の関係だったので、好きなように発言を編集して相手をコケにできた。記者たちは自分たちの取材が名刺を出すことさえ、ためらう程度のお粗末さであることを再認識した。 それでも生身の人にあって話しを聞いたことにするのが私たちの仕事だ。そうしなければ、間違ったことを本当のことのように伝えられないと思う。”


第一部 失われてゆくもの/1)
その1 難病児募金あざける「祭り」
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070101ddm001040002000c.html
 この記事が1日一面。
 [記事要約] “インターネット掲示板「2ちゃんねる(2ch)」に家族を中傷する匿名の書き込みが始まる。” 難病の少女と家族が善意の募金を募っているのを攻撃した2ch、夜も眠れない家族。 “「裸で歩いているような恐ろしさ。眠れないときもありました」。和子さんは家の前で携帯電話のカメラを構えた人影を忘れられない。「親ですから娘が救われるのなら構いません。でも支えてくれる人たちが疲れていくのをみるとつらい」。目が潤んでいた。”
 攻撃の中心人物は匿名、2ch利用者は罪悪感無し。
その2 「エサ」総がかりで暴露
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070101ddm002040009000c.html
 [記事要約] “記者が玄関をノックしても出て来ない。「本当に怖くて外も歩けませんでした」。電話越しの声が伝わる。中部地方の主婦は半年前、ネットの掲示板「2ちゃんねる(2ch)」の「祭りの被害にあった」”
 ブログ記事から住所氏名勤務先まで調べ、勤務先に電話までした2ch。裁判で訴え勝訴しても管理人が払わない。掲示板の人権侵害の申し立て制度はあるが、機能しておらず、被害者が増えている。
その3 2ch管理人に聞く
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070101ddm003040021000c.html
 [記事要約] “ネット上の掲示板に匿名で個人への中傷が書き込まれる問題を、管理する側はどう考えているのか。最大の掲示板2ちゃんねる(2ch)の管理人、ひろゆき氏(30)は毎日新聞の取材に「ネットの仕組みだから仕方がない」と答え、規制は難しいとする認識を示した。”

 「失われてゆくもの/1」の特徴は二つ。
 ひとつは「ネット=2ch」の誤った構図をさりげなく記事にできている点。
 その1では「ネット君臨」の後にすぐ“2ちゃんねる上、匿名攻撃”と続き、“ネット掲示板「2ちゃんねる」”とここでのネットの話が全て2chの話に置き換わっている。「がんだるふ」を名乗る男性も“ネット上”とだけで、mixiの名前を上手く避けて、あたかも2chが全てであるかのような錯覚を植えつけることに成功している(嘘はついていないことにできる)。
 その2も同様に、2chの利用者数グラフを冒頭で掲げ「ネット君臨」は「2ch君臨」の話にしたまま続ける。
 その3では2chを“最大の掲示板”と一応ふれるが、そもそも知らない人間なら“掲示板”は一つだと勘違いできる。さらに、匿名の問題でも中傷書き込みの問いへの答えでもない、削除まで時間がかかることに対するひろゆき氏の応答を、氏があたかも匿名も中傷も「ネットの仕組み」であるとの認識をもっているかのように編集して冒頭に使用している。
 もう一つの特徴は、人物描写を「弱々しい可愛そうな女子供vs傍若無人な男」で描き分けられた点。 
 4歳の難病をかかえる少女が人形に喜ぶ姿、目を潤ませて攻撃に耐える母親。
 趣味のブログが「エサ」にされ外も歩けないほど弱っている主婦。
 記事の文章が想像させるのは、日常性と善良性。居丈高になることも、財欲を持つこと無さそうなイノセントさ。
 記事が事実を伝える文章ではなく、かわいそうな人々の物語を伝える文章と化す。
 これは前者の「ネット=2ch」という誤った構造提示を感情(潤んだ目)で見させて気づかなくさせる。
 しかも、「ネット=2ch=害悪⇒規制」という流れが自分にも影響することへの気付きを読者に上手く回避させる。
 なぜなら、「ネット=2ch」であり、2chに巣食う傍若無人な男でない自分には関係のない話だから。記事に涙する読者は、そんな傍若無人な男ではなく、イノセントな彼女たちと供に涙する愛の人だから規制から不利益は受けるはずがない

第一部 失われてゆくもの/2)
その1 膨大なダウンロード
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070103ddm002040016000c.html
 3日一面の記事。
 [記事要約] 見た目では分からない狡猾な小児性愛者たちがネットで集まっている。中心人物はコミック作家で1級のコンピュータープログラマー。世界で出回る児童ポルノは日本製で禁止する法律ができてもネットのせいで効果がない。
その2 レアもの求め、嫌がる女児撮影
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070103ddm001040005000c.html
 [記事要約] ネットのおかげで小児性愛者たちは交流と「狩り」ができ、エスカレート。警察もネットの壁にお手上げ。小児性愛者たちもそれを知ってやっている。子供を持つ親たちは不安。

 「失われてゆくもの/2」の特徴は二つ。一つは、徹底的にネットと小児性愛者を結びつけること。彼らの人格とネットを結びつけ、ネットが手段以上のものだという印象を植え付ける。もう一つは、行政・立法は頑張っているけれど、法律で身動きがとれないという絵を繰り返すこと。

第一面の勝負)
 以上の1と2はいずれも一面をかざる、それぞれ「難病女児あざける祭り」と「認められたくて狩り」と大文字の見出しがつけられている。
 そして、以下でみていく続編に、これほどの「釣り」はない。
 以上二つの共通する特徴が二つ挙げられる。一つは、どちらもそれ自体には反論できないこと。もう一つは、どちらもそれ自体で論争ができること
 どちらもネットの問題ではなく、「少女の命を救う」と「少女を性犯罪から守る」という命題自体には反論できない。
 そして、どちらもネットの問題ではなく、内容それ自体で論争ができる。つまり、臓器移植も性犯罪者の防止策という問題もそれ自体が膨大な専門家の研究と論争(臓器移植について→救う会の救われない救い・児童ポルノ規制に関して渋井哲也さんのブログ→http://shibutetu.jugem.jp/?eid=210#trackback)を生み出しており、いくらでも議論できる。
 反論できないことと、大論争ができることを一緒にすることは、それが実はネットとは別問題であることを読者に忘れさせる。
 読者は純粋にネットのアーキテクチャのもつ問題を考えるのではなく、反論できない「少女の命や安全」からの憤りと、臓器移植と性犯罪防止策という大論争とに引き込まれて、ネットのアーキテクチャをいじるという問題を見事に見忘れる、もしくは、憤りと議論に飲み込まれて、ネット自体で考えるべき問題をそうとは認識させずにおかれる。
 「ネット=害悪→規制必要」という記者の素朴な結論だけが手付かずに残る。

 そして、それを読むのはネットに疎い人々。その人々の中には、治安と情報が金と権力を動かす時代だと分かっている人々が回りにいる、操りやすい立法府の人間が必ずいる。 
 
“バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキリと言う”のだ! 
 http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/1bunkakai/dai4/1-4siryou1.html 

第一部 失われてゆくもの/3)
静かな職場、システムが社員監視
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070104ddm002040015000c.html 
 [記事要約]社内監視システムによって常に行動が監視され、社員同士の交流のない職場。

 いきなりトーンダウン。しかも、企業の情報漏洩で騒ぎ立てるのは自分たちだということは一切無視。

第一部 失われてゆくもの/4)
画面でつながる「仲間」「友だち」
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070104ddm002040015000c.html
 [記事要約] 携帯メールに振り回される少女。ネットの危険性には無自覚。オンライン・ゲーム中毒、ネット、メール中毒の子供たち。携帯・パソコン・ゲーム禁止の寮へ。寮では子供同士の対面交流がつたなくも続いているよう。

 「失われゆくもの/4」では「/2」と同様の人格化のテクニックが使われている。
  子供たちの入っている寮は多くが不登校を経験。
  個別的に触れられている二人のうち一人は“先輩との関係につまづいて不登校”となっている。
 しかし、「携帯・パソコン・ゲームをした不登校の子供が、携帯・パソコン・ゲーム禁止の寮で立ち直る」という記事の構造は、原因だと言明せずとも、それらが生徒の人格をおかしく変え不登校にしたと伝えようとしている。
 それらさえなければ、子供たちは健全な交流を築けるのだと。 

 1月5日の朝刊2面に掲載されたこの記事は、「/3」に続いてトーンダウン。
 目を左側の3面へ移すと「体感治安を回復させよ」「懸賞金 子供被害に導入」と巨大な見出しで犯罪検挙率の低下と警察官増員の記事。
 体感治安って、元旦3日のような新聞記事が原因なのではないかという疑問はもちろん完全に無視

第一部 失われてゆくもの/5)
ケータイ無しで、生きられますか…
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070106ddm002040054000c.html
 [記事要約] 大学生から携帯・パソコンを取り上げて、禁断症状を確認する「実験」。
 禁断症状が薄れるにつれ“時間がいつもより少しだけゆったり流れているように気がした。”“相手の表情の変化を見ながらしゃべっていると話が進み”“イチョウの黄葉に気づく”藤原正彦さん並の情緒力を発揮しはじめる。

 朝刊2面の特集記事から3面へ目を移すと、広告欄が『日本はなぜここまで壊れたのか』マークス寿子(草思社 定価1470円)の広告。 「すべての心ある日本人に読んでいただきたい」そうです。
 
 14面では柳田邦男(「開かれた新聞」委員会 委員)が“負の側面を見る重要性”を力説
  “最大の問題は、子供の人格形成への影響だ。自我や社会性が未成熟であるだけに、前述のバーチャルと現実の混同、暴力・残虐・性の映像へのアクセス、匿名発信の会館の習慣化とモラル意識欠如の人格形成、言語力・思考力の発達遅滞などの影響が出やすい。”
 柳田邦男さんと言えば、“「科学的知識による自己コントロール」という生活信条”(『犠牲』文芸春秋)をもち、日本を代表する科学・技術関係のノンフィクションの書き手。
 最近では『壊れる日本』(新潮社)でも卓越した科学的知見で日本が壊れる原因を情報技術の浸透だと解明し、「ノーゲーム・ノーケータイ・ノーテレビ・ノーネットデー」を提唱している。
 http://kgotoworks.cocolog-nifty.com/youthjournalism/2005/06/post_13f7.html
 毎日新聞特集班の記事には柳田邦男脳からのインスパイアを感じます。
 加えて、ノーシンブンデーは必要ではないのかという疑問も無視。
 朝は紙の毎日新聞を読まないと落ち着かないという私はどうしたらいいのか教えてほしい。


とりあえずの感想)
 毎日新聞の特集班は本気のよう。
 個々の記者たちがいかなる程度の広さと深さでネットの問題を認識しているか、そして、いかなる意図で上述してきたような有様の記事を出してきたのか分からない。
 しかし、どうも、ネットを規制する、少なくとも実名化と捜索の簡便化の法整備を促して、自分たち以外の言論の可能性を大幅に殺そうとすることは本気のように思えます。
 最初は、わざと不備な記事を挙げて、コメント欄を開放し、ネットの情報補強能力をネットに理解の無い上層部へ見せ付けるようとしているのではないかと様子を見てみました。
 しかし、柳田邦男さんの発想・問題意識とかなり重なる記事、さらにコメントで取材班が取り上げるコメントの無いようを見てみると、記者たちは内心や認識はどうあれ、今あるネットの力を殺ぐことに本気である可能性が高いと見えます。

記者の心配?) 
 “確かに「君臨」といわれたって意味がわからない若者もいるだろうし、「ネット君(くん)」と読まれないだろうか、といった笑うに笑えない心配もあるのだが、私はこれでいいと思った”
   まいまいクラブ 竹橋発 by磯野彰彦  
 https://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/isono8/index.php?p=205#comments

 「君臨」が読めない若者がどうやって新聞を読むのだろう。

第一部 失われてゆくもの/6)
オークションとアフィリエイト
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070107ddm003040020000c.html 
[記事要約]夫婦関係の悪い中年女性がストレス解消でのめり込んだネットオークションで借金800万、でも止められない。一部の主婦の成功に惑わされた主婦が労多く益無いアフィリエイトを止めらず、逆に業者の術中にはまって商品購入。

 コメントすることも無いほどの記事。どちらもストレスから依存と言う主婦に少なく無い現象を紹介しただけ。バージョンとして「パチンコ→借金」「テレクラ→不倫」「飲酒→入院」「教育→虐待」といくらでもある。「ネット君臨」はどこに言ったのか?

第一回 失われてゆくもの/7)
アクセス200万「ひきこもり村」

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070108ddm002040055000c.html
[記事要約]ひきこもりの当事者が主催するネットラジオ。それを中心とした当事者たちと、疲弊した当事者以外の人々の交流。

 ネットがマイノリティの居場所となる一例を紹介した記事。“「閉じた社会」の誘惑”と副題をつけれたようにネガティブな側面を指摘している点で、典型的な取り上げ方とは違い、これまでの記事からすればまともなものと思える。
 しかし、ネット自体の問題ではない。すでにコメント欄ではネットの問題ではなく、記事でとりあげられた個々の問題(募金、移植、児童ポルノ、企業の情報管理、オークション、ひきこもり)の是非が議論の対象となってしまい、特集の意味が分からなくなっている。これに記者の謎の日記内容が拍車をかけている。
 https://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/itsociety7/

第一部 失われていくもの/8)
コピー‐‐ペースト

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070109ddm002040041000c.html
[記事要約]仕事上ネットを多用する物忘れがひどい会社員、脳に障害は無い。20代から40代で同様の症状が増えてると言う山王クリニック。自由筆記試験が成立しない大学。コピペ解答が中学でも。

 “「シャッターチャンスしかなかったよ!岩なのか君なのか!」”(映画『恋の門』より 田辺一誠が恋人役の片桐はいりに向かって言う台詞)
 この場面が浮かんだの私だけだと思いますが、「ツッコむところしかなかったよ!ネタなのか記事なのか!」と衝撃を受ける内容です。
 まず、物忘れと考える力はイコールではない。
 記憶力・想起と情報処理能力や論理展開能力は別にありえる。
 この会社員の場合は一つ一つを正確に記憶することよりも、多量の情報に触れる必要のある仕事に適した情報処理能力を身に着けたともいえる。そして、その適応が発想や論理展開能力を奪っているとは言えない。逆に、あまりに正確な記憶は発想を奪うこともある。
 
 “「秀才がなかなかいいサイエンティストになれないのは、あれは絶対記憶力が邪魔しとるというわけ。われわれは幸いなことに記憶力があまりよくないから、頭のどこかにポカッと穴が開いている。だからときどく変なことを考える。それがサイエンティストには重要なんだといっとったな。話がとんじゃったけど、何の話だっけ。」”
   1987年ノーベル 医学・生理学賞受賞 利根川進(『精神と物質』文春文庫 立花隆)

 “奪われた「考える力」”と題しているにもかかわらず、“「考えるよりも前にインターネットで検索するのが習慣になった」という。一日8時間はネットを使う。次第に物忘れがひどくなり”と実質的には記憶の問題にしか触れていない。執筆した記者が、クラブの発表モノを扱うように、取材相手の発言内容をまったく考えずに、取材相手が“「考えるより」”と言ったのにのっかったのだと言うことがよく分かる。明らかなミスリード。
 次に、自由筆記試験で百字に満たない解答を出した学生を取り上げている。
 この部分は、もはや文章として成立していない。
 自由筆記ができない学生の存在から、この学生が大学生として求められる最低限の能力を満たしてい(訓練されていない)ないのに、大学が入学許可してしまったことの問題や、学生の所属する大学が入試で筆記を求めないことの問題は言えるが、ネット利用と思考力の有無に関係があるという見解を導くことはできない
 国語力低下が“ゆとり教育と並行してネットが普及した時期と重なる”と無理にネットにつなげている。
 しかし、そもそも“ゆとり教育”は暗記偏重の教育を脱することが一つの目標だったのだから、“ゆとり教育”を自由解答ができないことの原因であるかのような書き方は妥当ではない。“ゆとり教育”の趣旨が実現できていなかった(暗記の代わりのものが育ってなかった)ことはいえるかもしれないが、もとの暗記偏重であっても自由解答ができるとは考えられない。(加えて、記事で述べているのは90年代後半からの弓山達也さんが教える大学での国語力低下なので、90年代後半から現在までの大学進学率上昇‐30%台中盤から現在の40%台前半へ‐も考慮しなければならない。)
 また、“ネットが普及した”とあるにもかかわらず、学生がネットの特徴である公開性に耐えられずにSNSへ移行したとある。“ネットが普及した”中で成長したのならば、ネットの公開性に耐えられるように適応するのが「ネットの影響」であるはずなのに、逆に公開性に耐える能力が育っていないことをネットのせいにするのは矛盾している。
 そして、中学生がコピペ答案を出したことを持ち出しているが、これも何からコピペしたのかが変わっただけでネットの問題とするのは無理がある。
 中学生がネットで調べた内容が高度すぎて結局、図書館で入門書を調べたら理解できたとあるが、これは中学生のネット検索のしかたが未熟だったことしか意味しない。ネット・リテラシー教育の必要性は導けるが、ネットがダメだという意見を導くことには無理がある。これを書いている記者が結論ありきだったということが、よく分かる。
 最後に、これこそ元旦スクープにふさわしい記事。

 続き→毎日新聞「ネット君臨」/毎日新聞を世界遺産に
[PR]
by sleepless_night | 2007-01-06 09:31 | メディア